地元メディアによると、イランの経済委員会議長のムハンマド・プーレブラミミ氏は先週Ibena.ir newsに対し、以下のように発言しました。
「既存のデータによると、ごくわずかなイラン人が仮想通貨投資を行っている。そして仮想通貨の購入のために、25億ドル以上もの投資資金が国外に送金されています。」
プーレブラミミ議長は以前にもイランの新聞に対して、イランの投資家が3月までの数カ月間で30億ドルの送金が確認できたと語っていました。「イラン人は国際的な銀行システムにアクセスすることはできないので、こうした送金は取引所や国際旅行者など非伝統的な手段で実行されたと考えられます。」と米国系の現地ラジオ局は解説しています。
イラン中央銀行(CBI)は4月中旬に、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクを挙げて、銀行や金融機関への仮想通貨の取り扱いを禁止していました。
先月末、イランの情報通信技術(ICT)省のモハマド・ヤロミ大臣は、実験的な国家の仮想通貨が開発され、テスト版が準備段階にあると表明していました。
しかし、先週のメディアのインタビューで経済委員会プーレブラミミ議長は、「現時点で、国家による仮想通貨は考案されていない。」と否定しています。一方で同氏は「イランの国家的な仮想通貨は、制裁を回避して経済活動を促進できる。」と発言したとも報道されています。
同議長は「世界経済の未来はデジタル通貨上で行われる」とし、国家の仮想通貨は、「イランへの経済協力に関心を持つ国(制裁を恐れてこれまでできなかった)との間で多国間通貨スワップ協定の道を切り開くことができる」と発言しています。同氏はさらに詳述しました;
「国家の仮想通貨の構造は、経済活動に適していると同時に、国際的に利用される水準であるべきです。」
プーレブラミミ議長は仮想通貨の利点の1つは「米国の規制当局が介入してこない」ことであると認めています。外国の報道メディアに対し、国家の仮想通貨について経済制裁を回避できる手段であると認めていました。議長の発言は、先週のヤロミ大臣による「すべての仮想通貨は、米国の金融規制当局の監督下にないため、制裁を回避する能力がある。」という主張とリンクします。
一方、今月8日、ドナルド・トランプ米大統領は2015年に米英仏独ロ中の6カ国とイランとの間で結んだ核合意から離脱を表明しました。解除されていたイランの石油輸出に対する経済制裁を復活する大統領令に署名しています。