COIN TOKYO

  • 2018/05/20
  • 2018/05/20
  • コイン東京編集部 新崎優太

仮想通貨ビットコインのバブルは終わったのか?これからが本番なのか?チューリップやドットコムなどのバブルの歴史を紐解いてみる

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1998年に設立されたヨーロッパ・北アメリカ、南アメリカ、アジアを中心とするグローバルなコンサルタン企業CAPCOのプリンシパル・コンサルタント、Romal Almazo氏が執筆したレポートより一部抜粋したものです。

イントロダクション

ビットコインが誕生してから今年10年目になります。サトシナカモトという匿名の人物によって作成されたビットコインで、ブロックチェーンは初めて商用的に利用されました。 2008年に誕生して以来、ビットコインがバブルの領域に到達するまでに9年近くかかりました。 2017年だけではビットコインの価格は1,300%も上昇しましたが、最も強力なパフォーマンスをあげた仮想通貨の1つはリップルで、36,000%という驚異的な上昇を遂げました。

多くの人々は、これが歴史上の最大のアセットバブルであると主張しています。非合理ともみえる投資家の盛り上がりとFOMO(fear of missing out)よって、2017年には多くの仮想通貨で10倍の価格上昇が見られるのが当たり前のことでした。インターネット上での人々の話によると、どんな少額投資家でも時々数万円が数百万円に化けたといいます。ソーシャルメディアにおいては、これらの人々は「lambos」と称されていました。

そして一般的なキャッチフレーズとして "lamboはどこだ?"と言われるようになりましたーこれはどの仮想通貨がランボルギーニを買えるようになるほど上昇するのかを意味します。スーパーカーを売っているウェブサイトでさえ、ビットコインまたはイーサリアムを支払いに取り扱うようになりました。

2018年5月まで早送りしてみてみると、ビットコインの価格が大体数の仮想通貨の価格の大幅な下落と共に、過去最高値より65%マイナスという下落を記録しています。

なぜこれが起こったのか、そしてどこに進むのかを理解するために、歴史を振り返ろうと思います。

歴史との類似性―バブルと技術革新

アセットバブルの動きをよく理解するためには、数多くの役立つ歴史的事例があります。そのうちの2つはビットコインのような大規模な技術革新に関連しています。

1840年代のイギリスで発生した鉄道株バブルと、1990年代後半のドットコムバブルは世界を変える約束をした大規模な技術革新の結果でした。 1840年代の鉄道株バブルはエンジニアリングの新たな功績により推進され、ドットコムバブルはインターネットによって加速されました。そして、双方のバブル共にひどい結果に終わりました。 2008年のサブプライム問題でさえも大恐慌以来、世界最大の景気後退を引き起こした革新的な金融派生商品が関わっていました。そして現在、ビットコインと革新的なブロックチェーンテクノロジーを基盤とした仮想通貨市場が世界を変えることを約束しているといえます。

過去全ての主要なアセットバブルを見直すと、価格上昇は不合理な投資家の行動や詐欺によって引き起こされることが最も一般的です。また多くの投資家は、資産価値を正確に測定することが難しいのだとみることができます。

◆ドットコム・バブル
ドットコムバブルが始まってから約9年後の2004年までには創業した企業の半数以下しか残っておらず、2015年には生き残った少数がAmazonやeBayといったような誰でもよく知っている企業となりました。実際2001年9月に底を打ったAmazonの株を買えば、1株あたり約6ドルとなり、現在の価格で250倍まで増えていることになります。
企業が利益を生み出せていないことが明らかになったとき、バブルは「崩壊」します。企業は単にビジネス名に「.com」を追加するだけで、一晩で株価が大幅に上昇していました。 IPOは達成不可能な収益の主張をしていました。 FOMOによる価格行動も多く見受けられています。

◆1840年代 鉄道株バブル
鉄道工学の技術進歩の目覚ましい発展により、鉄道会社の成長の可能性に投資家は夢中になりました。鉄道バブルが1846年に崩壊すると、その10年後には大半の鉄道会社が廃業し、鉄道会社の株は壊滅的な状態になりました。市場が回復の兆しを見せるまでに少なくとも20年はかかりっています。

◆2008年 サブプライム問題
サブプライム問題は米国で過熱した不動産市場がヨーロッパ側迄広がった結果であるといえます。それには、住宅ローンを借り入れる余裕がない借り手を複雑に組み込んだ、ある意味革新的ともいえるクレジットデリバティブ商品が含まれていました。不適正な販売が流行し、住宅価格は2002年から2006年の間にほぼ倍増しました。そこでは住宅ローン詐欺やマンションをリモデルして高値で転売することが横行していました。 2008年9月にリーマン・ブラザーズが破産したと発表されたきにすべてが崩壊しています。人々は裏付けされた資産を正当に評価するのが難しいようです。

他のバブル

◆日本におけるバブル
1989年、東京の皇居の敷地価値は、カリフォルニア州全体の不動産価値すべてよりも高価でした。失われた10年(実際には20年続きましたが)を参照すると、不動産は激しく価格が騰がる経験をし、首都圏では当時のニューヨーク、マンハッタンの不動産と比べると350倍もの高値がつけられています。

◆南海バブル
1720年に、フランスとの戦争資金として7百万ポンドの融資を受け、英国の下院は、南米との貿易を独占していた南海会社と南シナ海法案を可決しました。その後株価は10倍跳ね上がり、投機が流行し、あらゆる種類の企業やある種の詐欺的なものが蔓延し、楽観的見通しが多くあげられました。株式は増加し、巨大な富が一晩で築かれました。意外なことに、株式は最終的には大幅に下落してしまい、英国の多くの人々が資金を失いました。また、南海会社が政府債務の価格を操作したという虚偽の反論が強く提出されています。

◆チューリップバブル
1600年代、チューリップ・バブルがオランダを襲いました。チューリップの球根の価格は1636年に急騰し、1年後には崩壊しています。価格操作と詐欺的行為も大々的に行われました。しかし、チューリップ価格が崩壊したとき、オランダ経済の多くは影響を受けていなかったことは注目に値するでしょう。これは、ビットコインの価格がもしも100%崩壊した場合にも同様といえます。

◆ビットコイン・バブル
ビットコインの誕生から10年近く経った2017年、多くの仮想通貨では10倍の価格上昇がみられるのは珍しいことではありませんでした。さらにビットコインは2017年に1,300%増加しました。今日ICOでの資金調達に関連する不正行為については珍しいことでないといえます。

私たちがここから学ぶべき共通の歴史的テーマ

◆世界を変革することを約束する技術は、非合理的な行動を引き起こします
技術革新によって引き起こされるバブルは、世界を変えることを約束する新しい革新的技術の開発によってほとんど突き動かされています。そして歴史は、大部分の技術革新が成熟するまでに長年を要することを示唆しています。ドットコムバブルのケースでは、インターネット企業の価値が復活するまでに少なくとも15年かかりました。

◆不透明な資産価値
技術変化に関連するすべてのバブルにおいて、価格はその潜在的価値に先立って急上昇します。価格は資産から得られる利益に真面目に反映されていませんし、測定することも難しいことです。資産価値に関する意見の不一致が一般的です。ビットコインの場合、潜在的価値はブロックチェーン関連の技術であり、2008年のサブプライム問題の場合、潜在的価値は不透明なローン滞納者のことでした。

◆投資家の盛り上がり
投資家は実際に技術が実現するか、または適切に理解される前に、新しい技術の可能性について興奮し投資します。彼らは認識されている将来の利益を期待して購入し、しばしば実証されていない技術に期待を寄せます。価格行動は、通常、崩壊するまで狂気に満ちた投機活動によって牽引されます。不合理な投資家行動と群衆心理にも共通しています。

◆詐欺(または不正)行為
バブルには常に詐欺的行為や不正行為が潜んでいます。たとえば、ドットコムバブルはIPO詐欺と企業の将来に対する収益性の根拠に欠けた主張が伴われました。 2008年の金融危機には不適正に商品が販売されていたことが含まれていました。南海バブルは政府債務の価格操作を含んでいます。 また1840年代の鉄道株バブルは不正な誇大プロモーションを巻き込んだものでした。そして今、仮想通貨バブルは、ICOによる実証されていない企業が散見されます。(本当は“企業があふれています”ですがそんなことは書けないので

◆先物と暴落の相関関係
もしこれまでの歴史からすれば、先物契約の導入直後に暴落します。チューリップの価格は1636年に急速に上昇し、オランダが球根を買うための先物市場を作り出してから一年後には崩壊しました。そして、我々は、CMEとCBOEの取引所がビットコインの先物を導入した直後に、ビットコインの価格が2017年12月に起こった大幅な修正(または調整)を目の当たりにしました。

サマリー

ビットコインと仮想通貨市場は、歴史上の主要なアセットバブルと共通のテーマにおいて密接に関連しています。バブルに最も一般的に関連するテーマには、熱狂的な価格行動、非合理的な投資家行動、詐欺、および測定が困難な資産価値が含まれます。

大がかりな技術革新に関連するバブルとの類似点を描くことは、ビットコインと仮想通貨市場がそれらとそうは違わないことを示唆しているといえるでしょう。

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