COIN TOKYO

  • 2018/07/26
  • 2018/07/26
  • コイン東京編集部 新崎優太

個人のデータを企業に売買することのできるプラットフォーム「Wibson(ウィブソン)」に独占インタビュー!EUで施行されたGDPRは追い風となるか

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この度、個人が持つ様々なデータに価値を見出し、企業への販売を目的としたプラットフォーム『Wibson(ウィブソン)』の運営を行っている4名にインタビューを行いました。普段人々が何気なく生み出しているデータが秘めた価値や、EUで施行された一般データ保護規制からみるこれからの展望など興味深いお話を伺うことができました。

―コイン東京
コイン東京へようこそ!お一人ずつ自己紹介をお願いします。


―アドリアンさん
Adrianです。ベネズエラ出身です。この会社では2年ほど働いています。マーケティング、プロダクト・オーガニゼーション、コミュニケーションを担当しています。日本に訪れたのは初めてで、このプロジェクトに興奮しています。

―マトラスさん
Matlas Travizanoです。WibsonのCEOで共同設立者です。アルゼンチン出身です。現在はアメリカのサンフランシスコを拠点にしています。

―マーティンさん
Martin Minnoniです。WibsonのCTOです。アルゼンチン出身で、Matlasとは7〜8年、一緒に働いています。

―ロドリゴさん
Rodrigo Irarrazavalです。マーケティングチーム所属で、アルゼンチン出身です。

―コイン東京
みなさんラテンアメリカ出身なのですね。それではみなさんのプロジェクトについてご説明をお願いします。


―マトラスさん
私はビッグデータが新しい価値を生み出すという認識のもとにこのプロジェクトを開始しました。ユーザーは、誰もがSNSなどから収集したデータのオーナーになることで、そこからビッグデータを生み出し、そこから利益を生み出すことができるということなのです。

―コイン東京
自分自身のデータが価値を生み出すとは面白い仕組みですね。何故みなさんはブロックチェーン業界に参加することになったのでしょうか?


―マトラスさん
長年IT業界に関わってきて、テクノロジーが社会を変えると信じてトライしてきました。私自身はコンピュータセキュリティシーンに身を置き、「.comバブル」を体験し、今はブロックチェーン・クレイジネスの渦中にいると思います。私個人としては、サトシ・ナカモトの論文でこのテクノロジーに興味を持ち始め、関連企業に投資を始めました。当時、私とMartinは別々の会社を経営していましたが、この新しいテクノロジーへのニーズが高まっていることを感じ、二人で新しいプロジェクトを立ち上げることを決めました。私個人の経験は、フィンテックや投資家と非常に近いもので、この業界に飛び込むのは難しい決断ではありませんでした。

―マーティンさん
ブロックチェーン技術は既存の市場で中央集権化されているパワーと人々を分散化するためのアイディアだと思います。この技術は様々な分野の市場に適合できると思います。

―コイン東京
お二人が新たなプロジェクトを始めようと考えてから、どのような形で現在のチームが形成されたのですか?


―マトラスさん
我々は、元々別の会社(Grandata)で働いており、新しいプロジェクトとしてWibsonを立ち上げました。2017年10月のことです。我々にとっては全く新しいアプローチであり、プロトコルなど、プラットフォームの全てを一から構築しました

―マーティンさん
Matlasが言うように、WibsonはGrandataから派生した会社です。Grandataにはデータの収益化における長い歴史があります。 この技術はWibsonの成功に役立っています。市場に、大企業に対抗できる新しいエコシステムを構築することができるからです。

―コイン東京
これまでの経験が今に繫がっているのですね。新たなプロジェクトであるWibsonという名前の由来は何でしょうか?


―アドリアンさん
ウィリアム・ギブソンに由来しています。Matlasが彼の小説からインスピレーションを得たのです。

―マトラスさん
「ニューロマンサー」という小説ですね。


―コイン東京
サイバーパンクSFの金字塔ですね(笑)。それでは日本の皆さんにコンシューマーがデータを収益化する方法を説明していただけますか?


―ロドリゴさん
Wibsonは個人データの市場であり、1ヶ月前にリリースした「Alpha app.」を通じて、ホワイトリストに登録すればコンシューマーは所有しているデータを売買することができます。

―マトラスさん
データの売買は、簡単な3ステップで完了します。アプリをダウンロード/インストールして、アプリを開いて、データに接続するだけです。データはGPSやフェイスブックアカウントで検索し選択することができます。オプトアウトもできます。

―コイン東京
例えば私がアプリを始めたとして、私個人データの価値はいくらぐらいになりますか?


―マトラスさん
米国内の広告に使用する個人データの平均価格は年間$240です。これはあくまでデータを広告だけに利用した場合です。個人データの用途は様々です。学校を作る、銀行や金融機関、健康・医療サービスなどです。AIによってあなたの個人データの用途を見つけ出せば、データの市場価値は上昇していきます。

―コイン東京
AIの判断によってより価値が高まる可能性があるということですね。では、これから先ライフスタイルの収益化はどうすれば実現するでしょうか?


―マトラスさん
様々な要素がありますが、ここでの大きな問題はフェイスブックの広告です。この広告の60%はフェイスブックユーザーの個人データで出来ていますが、このデータは収益化されていません。これは不公平です。Wibsonは全ての個人データには価値があると確信しています。また、人々が自分の個人データの価値を意識することが重要だと考えています。私のデータを共有するのはフェイスブックではなくユーザーであるあなたなのです。我々は将来的にフェイスブックがWibsonを利用して個人データを共有すると信じています。Wibsonが皆さんの個人データを収益化し、フェイスブックがそれを購入するのです。これが公平な個人データの収益化だと思います。

―マーティンさん
Matlasが言いたいのは、我々の目的は個人データの使用のための透明度の高いシステムを構築することだということです。

―コイン東京
個人データを取り扱う上で重要な要素になってくる、プライバシーとセキュリティの確保とブロックチェーン技術の利用法について教えてください。


―マトラスさん
例えば、あなたに私の財務データを1日使用する権利が与えられると、システムはあなたが1日だけそのデータを閲覧できるチャネルを送ります。期限が過ぎればデータは閲覧できません。こうしたテクニカルな方法で制限をかけることでセキュリティを強固なものにします。個人データの取扱には何者かに盗まれないことを100%保証する必要がある為、透明性を常に維持するよう努めています。

―コイン東京
マーティンさんにもお伺いしたいのですが、データの保管方法に関してCTOとしてテクニカルな説明をお願いします。


―マーティンさん
あなたが接続したデータはブロックチェーンにハッシュとして記録され、審査され、データ販売者によってあなたのデバイスに転送され、保管されます。セキュリティはデータ販売者とデバイスによって互いにかけられます。


―コイン東京
日本企業は他国企業に比べ「EU一般データ保護規則(GDPR)」の知識に乏しいのですが、こうした規制にどのように対応しているのでしょうか。


―マトラスさん
この規制には大きな2つの側面があります。一つは5月25日以降、企業は個人データの使用について個人の同意を得なければならないということです。もう一つはデータポータビリティ権の確立です。これは個人の権利を非常に強固にします。公開されているフェイスブック上のコメントさえも、データの権利の所有者を明確にするものです。企業が私の個人情報がほしい時には、企業はデータポータビリティ権に基づき、私の同意を得なければデータを使用できません。これはEU地域内の規制ですが、この権利を定義した規制は世界初です。

―マーティンさん
GDPRはWibsonにとっては非常にいいタイミングでした。つまりGDPRのデータポータビリティの規制はWibsonのデータ収益化を定義し後押しする規制なのです。

―マトラスさん
今日、マーク・ザッカーバーグは、GDPRと同じ規制を米国内でも遵守すると発言しました。GDPRはデータの収益化を後押しする画期的な規制です。

―コイン東京
規制がかかったことでデータの所有権が明確になり、それぞれに価値を見出せるようになったということですね。現在Wibsonの規模はどれぐらいでしょうか?


―マトラスさん
2週間前までは非常に小規模でしたが、GDPRの施行が近づくに連れて急激に注目を集めて、規模が拡大しています。アプリは昨日リリースされたばかりです。

―コイン東京
現在、市場でのライバルはいらっしゃいますか?


―マトラスさん
フェイスブックです(笑)

―コイン東京
ライバル目線でもあるのですね(笑)。では、WibsonのICOについてご説明お願いします。


―マトラスさん
我々はICOを行っておらず、予定もありません。非公開セールで資金を集めています。我々はトークンの普及を目的にしていないので、ICOに興味はありません。

―コイン東京
ICOは行わないのですね、失礼致しました。それでは日本のみなさんに向けて、このプロジェクトへの参加方法を教えてください。


―ロドリゴさん
Google Playでアプリをインストールしてください。iOS版はまだリリースされていませんので、ウェイティング・リストに登録をお願いします。数週間後にダウンロードリンクをお送りします。基本的にアプリを使えばどなたでも参加できます。

―コイン東京
参加自体はとても簡単なのですね。では逆に企業がデータを購入する方法を教えてください。


―マトラスさん
まず、当社のトークンを購入する必要があります。流通市場や取引所で購入できます。まだ始まったばかりですが、何社かの企業は既に利用しています。ステークホルダーがデータの売買を活発に行うことが我々の目的です。

―コイン東京
ありがとうございます。最後に日本のみなさんに対して何かお伝えしたいことはありますか?


―ロドリゴさん
今回イベントに参加して、素晴らしい時間を過ごせました。我々を歓迎していただき、このプロジェクトをサポートしていただきありがとうございます。東京でもプロジェクトを開始できれば嬉しいです。もし日本でWibsonが始まった際は是非アプリを使ってみてください。

―アドリアンさん
データの収益化は、まだ始まったばかりのプロジェクトですが、日本でもみなさんと確立できればと思います。

―マーティンさん
既にスペインのバルセロナとアルゼンチンでプロジェクトを開始しています。個人データの共有と収益化を世界規模のプロジェクトとして、日本、中国、香港も巻き込んで進めていきたいと思っています。

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