COIN TOKYO

  • 2018/08/23
  • 2018/08/23
  • コイン東京編集部 アオ

【テーマ分析】トルコリラ暴落などに端を発する新興国通貨危機の様相と懸念。対して、仮想通貨市場はどう動くのか?米出口戦略の影響は??

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米国大統領ドナルド・トランプによる、トルコに対するアルミニウム・鋼鉄の関税率を2倍に引き上げるという発表をきっかけに価格の大暴落を起こしたトルコの法定通貨、リラ。新興国通貨であるトルコリラの暴落により、世界市場ではアルゼンチンや、インドの法定通貨も最安値を更新する状況となっています。

トルコリラの暴落をきっかけとし、各新興国通貨の価格も下落を始めた市場では危機の伝染(コンテージョン)が懸念されています。法定通貨市場では大きな動きがみられていますが、この動きは仮想通貨に対しても影響を及ぼすことになるのでしょうか?

2018年、新興国通貨危機の発端

今年2018年の新興国通貨危機の発端はトルコリラの大暴落にあります。

これまで米国とトルコの間では2916年のクーデター未遂事件による米国人の拘束を巡る争いが続いていました。結果この事件をきっかけに米国大統領ドナルド・トランプは、トルコに対してアルミニウム・鋼鉄の関税率を2倍に引き上げると発表。この発表がきっかけにトルコの法定通貨であるリラは大暴落を起こします。

更にトルコリラの大暴落後、他の新興国であるアルゼンチンやインドの価格も大きく下落、結果最安値を更新する状況となりました。アルゼンチンに関しては急落を止めるための緊急救済措置として、政策金利を40%から45%まで引き上げる動きをみせました。しかしアルゼンチンの下落は非常に強く、政策金利引き上げ後も安値圏で推移していることがわかります。

米国の出口戦略による金融市場の変化

米国大統領ドナルド・トランプは「米国第一」を強く唱える大統領です。そんなトランプ氏が大統領に就任後より、米国では米連邦準備制度理事会(FRB)と共に出口戦略に切り出しました。

この出口戦略によりこれまで低迷していた米国経済の回復が見込まれています。そして世界では、低迷気味となっていた先進国と、高成長を果たしている新興国という関係性が一変すると考えられており、大きく回復する先進国と成長速度を下げる新興国へと切り替わる可能性が高くなっているのです。

今年2018年11月には米国では中間選挙も行われる予定です。この中間選挙でドナルド・トランプがしっかり再選されるとなった場合、先進国と新興国の関係性の変化は加速する可能性が高まるでしょう。

新興国通貨危機と仮想通貨の過去の関連性は?

法定通貨市場では新興国通貨危機という大きな動きがみられている中、仮想通貨市場には影響されるのでしょうか?新興国通貨の危機に関しては過去にも数回似たような状況があります。そして過去の新興国通貨危機では仮想通貨も大きく影響を受けました。代表的な例が2013年の「ギプロス・ショック」が挙げられます。

仮想通貨に影響を与えた「ギプロス・ショック」の背景

ギプロス・ショックとはトルコの南にあるギプロス島という国で起きた金融危機です。元々小さな国であるギプロスは租税回遊地(ダックスヘイブン)として、海外から大量の資金集める国でした。

高金利・低税率ということもあり、その資金は大量に集まり、ギプロスの金融機関はとても巨大なものとなりました。しかし、そんな中で2012年ギリシア危機が訪れます。

国の70%がギリシア人であったギプロスは、銀行にも多くのギリシア国債があり、多くの不良債権が発覚されました。結果多くの国債が不渡りとなる事態となりました。

金融危機となってしまったギプロスはEUに対して援助を求めますが、その条件は「ギプロスに援助する代わりに、ギプロス預金者にもユーロ課税する」というものであり、ギプロスの預金者にも58億ユーロもの大金を支払わせるものだったのです。

ギプロス銀行に預金しておくとユーロ課税が生じ、預金がカットされる事態となったギプロス人。銀行は預金を引き出そうとする人々で殺到することとなり、大混乱に陥ります。結果ギプロスの銀行はおよそ2週間に渡り預金封鎖となり、封鎖解除後も引き出しの制限がかかる事態となりました。

法定通貨が安全でないと判断した国民が目をつけた通貨こそが仮想通貨となります。結果この事件をきっかけに主要仮想通貨であるビットコイン(BTC)の知名度は一気に上がり、価格も急増します。現在もギプロスには多くのビットコインATMが設置されています。

今年2018年の新興国通貨危機でも仮想通貨市場は大きく反応をみせている

過去の新興国通貨危機と仮想通貨市場は深く関連性があることがわかりました。では今年2018年に起きている新興国通貨危機に対して仮想通貨市場は反応しているのでしょうか?

仮想通貨とブロックチェーンに特化した世界有数のニュースメディアである「コインデスク」によると、トルコリラがドルに対して過去最安値をつけた8月10日には、トルコの仮想通貨取引所パリブやコイニムでの24時間取引高が100%を超える動きをみせたと伝えています。

また上記チャートであるBTC/TRYも8月10日前後で大陽線を形成しながら大きな値幅で動いていることがわかります。チャート上での赤いラインはBTC/USDのチャートです。BTC/USDチャートと比較しても上昇方向への値動きをみせており、今回新興国通貨危機のきっかけとなったトルコリラの相場に強く反応し、影響を受けていることがわかります。

法定通貨市場の変化は仮想通貨市場にまで影響を及ぼす可能性は十分に有り得る

今年に入り、新興国を始めとする法定通貨に対する不安感が強まっている法定通貨市場です。この影響を受け法定通貨市場ではリスクオフの値動きが強くなっています。同様に仮想通貨にも資金が流入されている値動きをみせている現在、ビットコイン(BTC)を主流とした仮想通貨の価格は大きく上がる可能性は有り得るでしょう。

今年の11月には米国での中間選挙も控えています。ドナルド・トランプの再選による現在の出口戦略が強まった場合、新興国への負担は大きくなる可能性もあり、結果仮想通貨に対しても続けて大きな影響を与える可能性があるかもしれません。

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