ウォレットとは、その名の通り仮想通貨を保管する場所です。(wallet=財布)
ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨を送受金・保管する際に、ウォレットが必ず必要になってきます。
ウォレットが必要な理由は2つあります。
1つ目は仮想通貨を守るためにあります。
あなたは、取引所に仮想通貨を預けっぱなしにしていませんか?
取引所に仮想通貨を預ける。しかし取引所は多くのユーザーが利用する、つまりはハッカーの目に付きやすい場所なのです。
管理している取引所によっては、仮想通貨を盗み出されやすい、安全とは言いがたい場所となります。
実際にコインチェックの事件では、最も目に付きやすい取引所が攻撃され約580億円分ものNEMが流出する事になりました。
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このように保管場所がハッカーに攻撃されることを防ぐために、ウォレットはあります。
個人的な場所、つまりは目に付きにくい場所で保存する事で、攻撃されるリスクを減らす。それがウォレットの存在理由です。
2つ目は、取引所で対応していないコインを「送受金」「エアドロップで受け取る」などの用途です。エアドロップで受け取りたいコインが、取引所のウォレットでは対応していない場合が多くあります。
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ではウォレットの仕組みはどのようなものでしょうか?
先程ウォレットは「仮想通貨の保管場所」と説明しましたが、実際にはウォレットに仮想通貨自体が保管されているわけではないのです。
ウォレットが保管しているもの、それは仮想通貨のやり取りに必要な秘密鍵です。
この秘密鍵は通貨の所有権を示す唯一のもので、送金などを行う際に必要となります。
これを管理することで、ウォレットは仮想通貨を管理しているのです。
仮想通貨のウォレットには主に6つに分類されます。ここではそれぞれのウォレットの説明、またその代表的なウォレットについて説明していきます。
取引所にはウォレットが用意されており、取引所で買った仮想通貨をそのままにしておくとここで保管されます。
かなりのユーザーが取引所で保管していることと思いますが、取引所に仮想通貨を保管するというのはリスキーでもあります。
先程も書いた通り、ハッキングのリスクが高く、また取引所が倒産した場合仮想通貨が消滅します。
たとえ主要な取引所でもハッキングのリスクや倒産リスクというのは存在するので、油断は禁物です。
また取引所は入手金の手数料が高く、メンテナンスなどで送金が出来なくなったりもするため、不便でもあります。
従って、できれば取引所に通貨をそのまま保管することは避けるようにしましょう。
関連記事:2018年の仮想通貨取引所でのハッキング総被害額は7億3,300万ドル(約800億円に相当)
取引所同様、インターネット上で保管できるウォレットです。
とはいえ取引所とは違い、倒産による仮想通貨の消滅リスクがありません。
メールアドレスやID、パスの設定だけで簡単に作成できるため、気軽に利用できるというメリットがあります。
しかし取引所同様ハッキングのリスクはあるため、大量の仮想通貨を保管する事は避けましょう。
代表的なオンラインウォレットには以下があります。
・ブロックチェーンインフォ(blockchain.info)
世界中で使われている非常にメジャーな仮想通貨ウォレットです。
また二段階認証の設定も可能であるなど、オンラインウォレットの中ではセキュリティ面を重視していると言えます。
基本的な操作は受信と送信の2つであるため、非常に操作しやすいオンラインウォレットです。
スマートフォン上のアプリで、秘密鍵やアドレスなどの情報を管理するウォレットです。ウォレットの中でも持ち運びがしやすく、QRコードなどを用いた実店舗での支払いも容易に行えます。仮想通貨がより一般化するであろう今後、ぐっと伸びると言えるウォレットでしょう。
しかしオンライン状態での管理となるため、後述のハードウェアウォレット、コールドウォレットと比べるとセキュリティは劣ります。
またスマートフォン自体の安全管理にも気を付ける必要があり、きちんとバックアップを取ったりウイルス対策を行うなど自己管理をしなければなりません。
代表的なモバイルウォレットには以下があります。
・ギンコ(Ginco)
日本企業からリリースされたモバイルウォレットです。2018年4月にビットコインへの対応と同時に、本格リリースされました。AndroidとiOSに対応しています。
海外産のモバイルウォレットが多い中、国産のため日本語完全対応であり、質問や意見にも日本語で対応してくれるというメリットがあります。
またアプリの審査が厳しいAppStoreでも配信されているため、iOSにも対応している数少ないモバイルウォレットです。ビットコインをはじめとした14種の通貨に対応しています。
・ブレッド (BRD)
アメリカのbreadwallet LLC社が提供しているモバイルウォレットです。既に120ヵ国以上でリリースされており、累計50万ダウンロードを達成するなど定番のウォレットアプリとなっています。AndroidとiOSに対応しています。
日本語にも対応しているため、英語に自信が無くても利用することが出来ます。
対応通貨はビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアムとなっています。
また5月のアップデートで、iOS版ではERC20トークンにも対応しました。今後この機能はAndroid版にも対応する予定です。
・ビットパイ(Bitpie)
2018年3月に日本語版がリリースされ注目を集めているモバイルウォレットです。
Android、iOSに対応しています。
非常に使いやすいUIで、対応している仮想通貨もビットコイン、イーサリアムなど36種と非常に多いです。
さらにレンディング機能(預ける事で金利を得られる機能)も付いており、マストなモバイルウォレットと言えるでしょう。
PC上で利用するタイプのウォレットで、秘密鍵はPC内に保存されます。最も古いタイプのウォレットでもあり、ブロックチェーンに記録された過去すべての取引情報が含まれているフルノード版と、最低限の情報のみ含まれているライト版のウォレットが存在しています。
前者のフルノード版は非常に重いのですが、マイニングを行う事が出来るというメリットがあります。後者は動作が軽いものの、マイニングは不可能なので注意してください。
基本的に1つのデスクトップウォレットに1つの通貨しか対応しておらず、複数種の通貨を同時に管理することは出来ません。そしてモバイルウォレット同様、秘密鍵のバックアップを取ったりPCがウイルスに感染しないようにしたりなど自己管理が必要です。
代表的なデスクトップウォレットには以下があります。
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・ビットコインコア(Bitcoin Core)
ビットコインの開発陣が公式にリリースしたオープンソースのソフトウェアで、ビットコインを管理するウォレットとしての機能を持っています。
フルノード版のデスクトップウォレットで、ビットコインのマイニングや最新のブロックチェーン情報を見ることが可能です。
ビットコインの古参ウォレットという事もあり、黎明期には多くのユーザーが利用していました。
・エレクトラム(Electrum)
ビットコインのデスクトップウォレットの一つで、ライト版ウォレットです。
そのため軽量に動作し、また多機能で日本語対応もしています。
2011年にリリースされてから改良されてから改良を続けて来たこともありUIは非常に使いやすく、また軽量ゆえAndroid版もリリースされていることが大きなメリットと言えるでしょう。
イーサリアム及びイーサリアムベースのトークンに対応したウォレットです。
このウォレットはブラウザ上で動作するため、非常に簡単に利用することができます。但しオンラインウォレットとは異なり秘密鍵は端末に保存されるため、セキュリティは良いと言えるでしょう。
またデスクトップウォレットでありながらAndroid端末にも対応しています。(iOSは不可)
【今更聞けない】マイイーサウォレット(MyEtherWallet)の登録・作り方・送金方法
秘密鍵やアドレスなどの情報を、USBやカードといった媒体を用いオフライン環境で管理する、コールドウォレットの一種です。
ウォレットの中で最もセキュリティ面で優れており、多くのヘビーユーザーから支持を集めています。
最近ではハードウェアウォレットも普及し、様々な種類のものが生まれています。
例えば様々な通貨に対応している、デザインが良い、値段が安価であるなどです。その中から自分にあったハードウェアウォレットを選ぶことが可能です。
またハードウェアウォレット自体の大きさは小さいので、手軽に持ち運ぶことが可能です。
デメリットとして高コストである事が挙げられます。
他のウォレットがほとんど無料であるのに対し、ハードウェアウォレットの購入には1万円から2万円かかります。しかしこの値段で安全に仮想通貨を管理すると考えれば、安い出費でしょう。
またもし紛失したり破損したりしても、同一のハードウェアウォレットを用意しリカバリーフレーズを入力すれば復元することができます。
この点で後者のペーパーウォレットより優れていると言えます。
代表的なハードウェアウォレットには以下があります。
・レジャーナノS(Ledger NanoS)
フランスのLedger社が販売しているハードウェアウォレットLedgerシリーズの最新モデルです。
PCのUSB端子に直接刺すことができ、またOLEDを搭載しています。
これまでのLedgerシリーズはビットコインのみ対応でしたが、NanoSはビットコインだけでなくイーサリアムにも対応しています。
定価は15800円です。
・トレザー(TREZOR)
世界100ヵ国以上で標準的に使用されているハードウェアウォレットで、USBでPCに接続するだけでブラウザからウォレットを利用することが可能です。
非常に小さな端末で、簡単に持ち運ぶことができます。
また先述のマイイーサウォレットと連携する事でERC20トークンも預ける事が可能です。
定価は14800円です。
その名の通り紙に秘密鍵とアドレスを紙に印刷して保管するウォレットです。
ハードウェアウォレットに比べて安価かつ手軽に作成でき、かつコールドウォレットであることからセキュリティ面でも優れています。
しかし紙であるので当然水には弱く、劣化します。またゴミなどと間違いやすく、紛失もし易いです。
とはいえその手軽さから多くのユーザーの支持を集めています。
・ウォレットは仮想通貨を管理する場所
・仮想通貨ウォレットの種類は取引所のウォレット、オンラインウォレット、モバイルウォレット、デスクトップウォレット、ハードウェアウォレット、ペーパーウォレットの6つに分類される
・取引所のウォレット、オンラインウォレットにはハッキングのリスクがあるため、大量保管には向かない
・安全性と利便性でのおすすめは、デスクトップウォレットやモバイルウォレット
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20代男性。都内名門高校卒業後、ベンチャー企業を経てコイン東京へ。二次元好きのセミプロゲーマー、好きが嵩じて仮想通貨やDappsゲーム、ブロックチェーン技術の世界にハマる。ゲーム知見と理数的素養から、最新の技術もカバーしつつ、プロジェクトの情報収集や分析を最も得意とする。