COIN TOKYO

  • 2018/09/29
  • 2018/09/29
  • コイン東京編集部 アオ

"Metaps Global Crypto Conference2018"のパネルディスカッションレポート!暗号通貨市場の投資トレンドと戦略について

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9月27日、泉ガーデンギャラリーにてMetaps Global Crypto Conference2018が開催され、コイン東京もメディアパートナーとして参加させて頂きました。
ブロックチェーン業界について様々なお話が伺えた中で、今回は「暗号通貨市場の投資トレンドと戦略」に関するディスカッションの内容をお届けいたします。

パネリスト
・田中 隆一氏(gumi Cryptos)
・本吉 浩之氏(B Cryptos CEO)
・平野 淳也氏(HashHub COO / d10n Lab LLC)
・紺野 勝弥氏(QUOINE 代表取締役CFO)

モデレーター
・青木 宏文氏(Metaps/Metaps Crypto Gateway)

ー青木さん
今、業界の中でクリプトファンドの存在感が非常に大きくなりつつあります。投資の面から見てもこの動きは非常に意味を持っているかと思います。今回はそういった点を踏まえ、今回は「暗号通貨市場の投資トレンドと戦略」といったテーマのディスカッションさせて頂きます。

まずは参加者の皆様の自己紹介をお願いいたします。



ー紺野さん
クオインという仮想通貨取引所を運営している紺野と申します。
私は元々ソフトバンクでM&Aやファイナンス系の業務を行っておりました。
クオインが目指すミッションとして「全ての人々に金融サービスを」というものがあります。

現在世界では満足に金融サービスを受けられていない人が全人口の70%程を占めており、そういった人々に対して、仮想通貨やブロックチェーン等先進的なテクノロジーを用いることで金融サービスをより浸透させていきたいと考えています。

先日、クオインユーザーの皆さんに「何故あなたは仮想通貨に投資を行うのですか?」という内容のアンケートを行ったのですが、多くの方が仮想通貨というものに対して「可能性」や「未来」を感じているようでした。
そういったユーザーさんの生の声を聞くことでクオインが目指している世界はより望まれているものだと改めて確信することができました。

クオイン自体の略歴を簡単にお話しすると2014年にシンガポールで起業され、その3年後である2017年に金融庁の認可を受けた取引所となりました。
昨年の11月にはキャッシュトークンという名のICOが行われ、つい先日そのプロジェクトであるリキッドがローンチされました。
現在クオインには300名程メンバーがおり、金融関係のプロフェッショナルが多数参画しています。


ー青木さん
ありがとうございます。本日のパネルディスカッションは投資家サイドの方々をお呼びさせて頂いておりますが、紺野さんに関しては暗号通貨取引所関係ということなので、また違う目線での意見をうかがえるのではないかと楽しみにしております。
では続きまして平野さんお願いいたします。



ー平野さん
私は起業家と投資家として活動しています。現在は仮想通貨とブロックチェーンに関わる企業を運営しています。
投資家の活動としては国内外で10個程のプロジェクトに対して投資をしています。

これまでの経歴は、ビットコインとブロックチェーンを始めて知ったのは2013年ごろで、その当時は貿易会社をやっていました。その後2015年に会社を辞め、興味があったビットコインやブロックチェーン専門で仕事をするようになりました。


ー青木さん
平野さんはサロンでも積極的に活動されており、仮想通貨業界に対しての知識も深く、興味深いお話が伺えるのではないかと楽しみにしております。
続きまして田中さんお願いいたします。



ー田中さん
ユニコンのCEOをやっています田中です。
今年4月にgumiさんというゲーム会社と共にgumi cryptosというファンドをを立ち上げ、3000万程の規模で運用を行っています。
ファンドは主にサンフランシスコを中心に10個ほどのプロジェクトに対して投資を行っている状態です。

私自身はユニコンという会社を5年ほど前に立ち上げ、gumi以外にもいくつかブロックチェーンに関わるサービスを運営しています。
運営しているサービスの中で東南アジア系の決済サービスに関わっていたこともあり、フィリピン市場等のポテンシャルの高さを感じ、フィリピンのローカルに向けたブロックチェーンメディアも始めました。
また、現在はシンガポールへ向けた「フィナンシェ」というサービスを開発中です。


ー青木さん
ありがとうございます。田中さんはブロックチェーン業界において幅広くサービスを運営・開発を手掛けておりますので、そういった目線でのお話をお伺いできることを楽しみにしております。それでは最後に本吉さん宜しくお願い致します。



ー本吉さん
本吉です、宜しくお願いします。
私はこの業界に関わる前、証券会社で企業向けにM&Aやファイナンスに関わるような業務を行っていました。関わっていた領域はテレコムメディアセクターという部分です。
去年の8月に思い立って会社を辞め、現在はB cryptosというブロックチェーン業界専門のファンドを立ち上げました。

ファンドのパートナーを挙げさせて頂くと、正しく本日いらっしゃっているクオインさんもファンドの立ち上げの時期から一緒にやらせて頂いております。
他にはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが韓国版イーサリアムと呼ばれている仮想通貨ICONさん等です。
国内向けに運用していくことが難しいということもあり、現在は主に海外へ向けた運用を行っております。


ー青木さん
ありがとうございます。本吉さんは様々な企業とパートナーシップを組んでいるということが非常に印象的で、この業界をより俯瞰的な視線で見ているのではないかと感じております。本日はそういったお話を伺えるのではないかと楽しみにしております。

それでは早速、本題に入っていきたいのですが、まずは皆様の投資スタンスについてお話を伺えればと思います。一言でファンドと言っても、VC型とヘッジファンド型に分かれており、VC型であれば有望なプロジェクトに対して3年から5年等長期的なスタンスで投資を行っており、ヘッジファンド型であれば投機的な目線も入りトレードなどの手法も用いています。

このように投資自体にも様々なスタンスの違いがあるかと思いますので、その部分をお聞かせ願えればと思います。



ー本吉さん
投資スタンスというと割と幅広い印象がありますが、ポートフォリオ的な目線でお話すると、中長期かけて育てていくという案件が一定数あり、ファンドという性質上投資者さんに理解を頂かなければならないということもあるので、一部足の速いと言いますか短期的な投資を行うこともあります。
また、運用の中に一部アービトラージを入れておりまして、システムを介して取引所間のサヤを取ることも行っています。


ー田中さん
我々も本吉さんが仰っていたスタンスとほぼ同じです。
基本的にはテクノロジー関係の投資を行っていますので、しっかりとそのプロダクト自体が成長をして行くかどうかを重視しています。
ただその一方でトークンの良さの一つに流動性というものがありますので、利益が見込めるのであればトークンの売却等も視野に入れていきたいと考えています。


ー平野さん
私の投資スタンスもお二人と同じように、主に中長期の目線で投資しております。
私の場合は個人で投資を行っておりますので、割と自由な運用を行っております。
田中さんが仰って頂いたようにトークンの良い部分として流動性が高いということが確かにあって、自分が見込んでいた価値より実際の価値が高くなるようなことがあったら取引をするといったこともあります。


ー青木さん
ありがとうございます。それではお三方共基本的には有望なプロジェクトに対して中長期的な投資を行うというスタンスを交えながら、利益が見込まれる際はトレードなども視野に入れて運用しているということですね。

有望なプロジェクトに対して投資を行う、とのことですが現在ブロックチェーン業界の中では日々膨大な数のプロジェクトが生まれており、リサーチを行うのも大変なのではないかと感じております。そういったプロジェクトの選定の基準等は何かございますでしょうか?



ー本吉さん
ここ半年だけを見てもこの業界の環境が大きく変わっているということは感じていまして、前に比べ所謂詐欺のような案件は自然と淘汰される基盤が出来つつあるのではないかと思います。

その中でどういったプロジェクトに投資を行うかという基準ですが、一般的な目線かもしれませんが、本当にプロジェクトを遂行できるチームなのかどうかや案件自体がコンプライアンなものかどうか、ブロックチェーンを使う必要性が本当にあるのか、そういった部分を中心に選定を行っています。


ー田中さん
本吉さんが仰って頂いた部分は勿論のこと、何がそのトークンの価値を下支えしているのかという部分も大切にしております。

また様々なプロジェクトを見ていると、案件自体が似通っているものがあったり、他のプロジェクトで見たいような人がチームに入っていたりするようなこともあるので、このプロジェクトはどのような人が参加をしていて、どのような人から紹介を受けている等、人の繋がりみたいなものも一つ重視しています。
他にはトークン自体の価値がこれから本当に上がるのかという部分もありますが、ここは過去の資料を見ているとファンダメンタルズ的な部分なのか投機的な部分なのかまだまだ不透明な点もあるので、これから更にブラッシュアップできればと思っています。


ー平野さん
私が投資をする上で大切にしていることはお二方が殆ど仰って頂いたので改めてお話しすることはあまりなのですが、プロジェクトのリサーチをする中で大切にしていることが二つあります。

まず一つ目は、情報量が多いこの業界の中で、トップレベルの知識量を得るためにできるだけ時間をしっかりと設けることを意識しています。
もう一つは、その情報が得られるような仕組み作りをすることです。例えば私はリサーチモビリティをやっているのですが、その中でリサーチレポートをしっかりと寄稿できるようにしています。

知識を得ることで、それが投資の経験に繋がり更なる知識の獲得につながるというサイクルを大事にしています。

ー青木さん
ありがとうございます。お三方が仰っていたように、この業界は情報量が非常に多く、リサーチをすることは勿論のこと自分自身に質の高い情報が蓄積するよう意識しているという印象を受けました。
一方で紺野さんは暗号通貨取引所で取り扱うトークンの種類等が差別化に繋がってくるかと思うのですが、そういったトークン自体のリサーチはどのように行っているのでしょうか?



ー紺野さん
我々のブランドはリキッドというグローバルで統一されたものなのですが、レギュレーション等にはもちろん従わなければいけないので日本国内では5つの種類のみ取り扱っています。一方海外でレギュレーションがない部分も多いので90以上の仮想通貨を取り扱っておりICOなどもあります。

投資家さんと取引所の目線は勿論違う部分もありますが、見るべき個所は似ていて、プロジェクトを本当に遂行できるチームなのかどうかということ、プロジェクトが本当に価値を生み出せるのかということ等多角的に判断するようにしています。


ー青木さん
ありがとうございます。それでは取引所サイドとしてもプロジェクトの質という部分が大切になってくるということですね。

これまで主にプロジェクトのリサーチについてお伺いしていきましたが、ブロックチェーン業界と言ってもその幅は広く、ビットコインやイーサリアムのようなパブリックチェーンを作るプロジェクトもあれば、ステーブルコインであったり、既存のサービスにブロックチェーンを組み込むなど様々な形があります。そういった領域の中で特にどの分野に現在注目をしているのかお聞かせ願えますでしょうか?



ー本吉さん
私たちはブロックチェーンを用いた未来に希望を感じています。
現在クリプト業界は多くの問題や課題を抱えており、現実社会に溶け込んでいく為、それらを解決出来るようなサービスやプロダクトに対して投資を行っています。例えばステーブルコインも現実社会に進出する上では必要になってくるかと思いますし、そのようなレイヤーに注目することが重要なのではないかと感じています。


ー田中さん
我々のベースにあるものについてお話しするとテクノロジー系やテクノロジー系をシェアするプロジェクトのニーズが高いのではないかと感じており、現状中央集権型のサービスが抱えている問題を解決するようなテクノロジーの親和性が高いと思っています。
アプリケーションの領域も勿論リサーチは行っていますが先ほど挙げたテクノロジーの部分が浸透してからになると思っています。


ー平野さん
現在、セキュリティトークンやパブリックプロトコル等が特に投資を集めており自分でも注目しています。

それ以外では、去年まで事業会社で儲かっているのは取引所とマイニングの分野だけだと言われていたのですが、現在キャッシュフローが回り始めているサービスが増えつつあるのでその分野も興味深く見ています。具体的に言えばスマートコントラクトやブロックチェーンの分析企業等ですね。


ー紺野さん
取引所としてはセキュリティトーンとステーブルコインを特に注目しています。
ステーブルコインに関しては現在テザーが有名ですが、本当に3000億ドルを担保できているかどうかなど不透明な部分が多く、取り扱いづらい部分がありますが、サークルの様な監査がしっかりしているステーブルコインも出始めてきています。

将来的には日本円をベースとしたステーブルコインが生まれ、既存の銀行を介したシステムを根本から変えて、ユーザーにとってより利便性が高くなっていくのではないかと思っています。
セキュリティトークンはしっかりとしたレギュレーションで各国のライセンスを取りICOに代わるSTOの時代が来ると感じておりますので、それに向けてしっかりと準備をしていきたいですね。


ー青木さん
ありがとうございます。先ほど規制についてのお話が出てきたのですが、国によって規制の幅が変わっており、出てくる事業も変わってくると思うのですが、現在皆さんが注目している国についてもお伺いできますでしょうか?



ー本吉さん
短期的に見ればタックスヘイブンなど優遇されているような国が良いと思うのですが、中長期的な目線で見ると良い意味での規制やルールが必要になってくると思います。そういった意味でセキュリティトークン目線であればアメリカやシンガポールに注目しています。
他には現在タイ等も規制が纏まりつつあり、各国が進めている規制が人々にとって良いものとなるかどうかという部分を特に注目しています。


ー田中さん
本吉さんが仰っていたようにセキュリティトークンやプロジェクトのやり易さという意味ではシンガポールだと思っています。
私たちのプロジェクトもシンガポールを拠点としているのですが、シンガポールは金融の仕組みがしっかりと出来上がっており富裕層が多く、その影響で多くのプロジェクトが集まっておりますので、これから先もっともっと進んでいくのではないかと感じております。

もう一つ注目している国としてフィリピンがあります。フィリピンは国際送金市場の3番目に位置しており、現在の手数料が高い銀行を介した送金システムを変えていく為、技術が進んでいくのではないかということと、政府自体がこの業界を前向きに捉えており経済特区を作っているということが理由です。


ー平野さん
国の話で言えば先ほど話に出ていたレギュレーションの面と優れたコミュニティがある面の2つ視点があると思うのですが、レギュレーションの面で言えば世のメディアなどはマルタやエストニアが良いと報じていますが、大事なことは現地で事業を行っている方にきちんと話を伺うことが大事だと思っています。
コミュニティ面ではシンガポールやシリコンバレーエリア、ドイツや中国が良いと思っています。


ー紺野さん
既に出ておりますが規制の面から言えばアメリカには特に注目をしております。セキュリティトークンもSECがどういう判断を下すのかという部分を注目する必要があると思います。
他に現在注目すべき動きをしている国としては田中さんが仰っていたフィリピンですね。フィリピンは国内をしっかりと守りつつ国外のプロジェクトを受け入れる基盤が出来つつあり、非常に面白い動きをしていると思います。
できれば日本でもそういった経済特区を作り新たなイノベーションをサポートするような取り組みができればと思っています。


ー青木さん
ありがとうございます。それでは最後の質問なのですが投資家という存在は業界の発展の為に必要不可欠だと思うのですが、皆様が考える投資家の役割、取引所の役割とはどういったものでしょうか?



ー本吉さん
現在私はファンドという形でやらせて頂いておりますので、ブロックチェーンの発展へしっかりと寄与できる案件に投資をしていくことを大事にしておりまして、ブロックチェーンの技術を未来へと繋げていくことが使命だと思っています。


ー田中さん
私もgumi cryptosさんと共に投資サイドで活動させて頂いていると並行してプロジェクトへの資金調達やメディアの運用も行っておりますので、世の中にある有望なプロジェクトの支援や広告活動にも力を入れていきたいと考えています。


ー平野さん
私としても田中さんが仰っていたように投資したプロジェクトに対してしっかりとインキュベーションを行い、知識の共有や広告をしていくことを意識しています。
また、グローバルに活動していく中でプロジェクト側から選ばれる投資家という存在になれるようやっていきたいと思っています。


ー紺野さん
取引所サービスは儲けに対する意識が先行してはいけないビジネスだと思っています。仮想通貨やブロックチェーンという素晴らしい技術を多く方が享受できるよう、顧客の資産をしっかりと守り、この業界を楽しんでいただけるようになればと思っています。


ー青木さん
皆様本日はありがとうございました。


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