DAppsとは、「Decentralized Applications」を省略した言葉で、一般的に日本語では分散型アプリケーションと呼ばれています。
分散型という名の通り、ブロックチェーン技術を利用することでシステム管理者が存在せずに可動させることができています。これまでのシステムは中央管理者が存在するタイプのものが多かったため、次世代のシステムといえるでしょう。
また、非中央集権的なDAppsは次世代のWebシステム「Web3.0」において重要な役割を担う可能性が高いといえます。不正行為に強く、システムダウンも発生しにくいDAppsの今後には要注目です。
DAppsは通常「ダップス」と読まれます。ブロックチェーン・仮想通貨関連の話題の中で頻繁に耳にするので、「ダップス」というワードを聞いたら分散型アプリケーションのことを示していると覚えておきましょう。
特定のシステムがDAppsと呼ばれるようになるためには以下の条件を満たしていなければなりません。DAppsについて正確に理解するためにも、あらかじめしっかり確認しておきましょう。
DAppsの最大の特徴はデータの保持や記録にブロックチェーンを用いることです。これによって、中央管理者が不在でも正確なデータを記録することができ、不正行為への対策も行えます。
DAppsはさまざまな場面で活用されており、分散型取引所(DEX)やブロックチェーンゲーム(My Crypto Heroesなど)が有名です。
また、身近な所ではLINEもDAppsを利用していて、「LINE Token Economy」というものをリリースしています。その中でも2019年5月にサービスインした「4CAST」というDAppsは大きな話題を呼びました。
4CASTは「予測市場」をテーマにしたDAppsで、参加しているユーザーがさまざまなジャンルの予想問題を作り、他のユーザーが回答するというシンプルなものです。
これらの活動に対して「LINK Point」というトークンで報酬が支払われます。DAppsの活用事例の1つとして注目できるでしょう。
DAppsの活用事例として最も有名なものの1つがゲーム(ブロックチェーンゲーム)です。ブロックチェーン上で発行されたキャラクターやカードを集めるタイプのものが多く、レアなものは高値で取引されています。
EtheremonやMy Crypto Heroesなどが有名で、これらのゲームはイーサリアムのブロックチェーンを利用しています。これからもブロックチェーンゲームはさまざまなものがリリースされると予想されるので、ぜひ注目してみてください。
仮想通貨自体もDAppsの1つといえるでしょう。ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、前述のDAppsの条件を満たしています。
また、DAppsの開発を目的としたICO通貨の発行も活発なので、今後も新たな仮想通貨が登場するかもしれません。
リップルのように一部中央集権的な仮想通貨も存在していますが、多くの仮想通貨のシステムは非中央集権的でブロックチェーンを利用しているのでDAppsの一つとなっています。
DAppsの活用事例で忘れてはならないのが分散型取引所(DEX)です。分散型取引所は管理者不在で可動している取引所で、ブロックチェーンを利用してユーザー同士が直接仮想通貨のトレードを行います。
そのため、クラッキングされにくくセキュリティが高い・手数料を削減できる・サーバダウンが発生しないというさまざまなメリットが有る取引所といえるでしょう。
次世代の取引所として注目されているので、DAppsの活用事例として目が離せません!
次に、DAppsを開発するのに必要なものをチェックしていきましょう。
2019年6月時点でDAppsの開発には主にイーサリアムのプラットフォームが用いられています。イーサリアムのスマートコントラクトを利用すれば開発が行いやすいので、ほとんどのDAppsに使用されています。
イーサリアムのプラットフォームを利用してDAppsを開発する場合、「Solidity」と呼ばれる開発言語が用いられるため、DAppsの開発に参加したい場合はしっかり習得しておきましょう。
実際にイーサリアムのプラットフォームを利用してDAppsを開発する方法を学べるゲームとして「CryptoZombies」があります。これを利用すれば楽しみながら開発方法を学べるので、これからDApps開発を学びたい人にオススメです。
CryptoZombiesは初心者向けにリリースされたものなので、初めてSolidityに触れる人にとってもわかりやすくなっています。基本からゲーム開発までを学べるので必見です!
ここではDApps開発に利用できるプラットフォームについて詳しく紹介します。どんなプラットフォームがあるのか知りたい人は、ぜひチェックしてください。
イーサリアム(ETH)はDApps用プラットフォームとして最初に開発されたもので、2019年6月時点で存在しているほとんどのDAppsがこれを利用しています。
イーサリアムでDAppsを開発する場合、スマートコントラクトと呼ばれる自動で契約を管理してくれる機能を使います。また、これを利用すれば比較的簡単にトークンを発行できるので、使いやすいといえるでしょう。
さらに、イーサリアムはICOにもよく利用されているので最も有名なDApps用プラットフォームと呼べるかもしれません。
EOSもDApps開発にできるプラットフォームの1つで、運用時の最大の問題であるスケーラビリティ問題の対策を行っていることで知られています。
スケーラビリティ問題とは、データ量が増えることによってトランザクション処理が滞り、通信遅延が発生するものでDApps開発の最大の敵の1つといえるでしょう。
イーサリアムのスケーラビリティ問題が深刻になった場合、次のプラットフォームとしてEOSに注目が集まるかもしれません。
全てメインのブロックチェーン上で処理するイーサリアムとは異なり、LISKではサイドチェーンと呼ばれる別のブロックチェーンを利用しています。
LISKのプラットフォームを利用してDAppsを開発する場合、それぞれのDAppsごとにサイドチェーンを用意し、そこでスマートコントラクトを実行します。
これによってメインチェーン上に流れるデータ量を抑制でき、スケーラビリティ問題が発生しにくくなっています。また、クラッキングの被害を受けた場合でもメインチェーンに影響が及びにくく、セキュリティ性能が高いといえるでしょう。
NEOは中国で開発されたDAppsプラットフォームで、NeoContractという独自のスマートコントラクトを実装しています。
独自のシステムなので今後浸透するかは不透明ですが、DApps開発における1つの選択肢として注目できるでしょう。
TRXはイーサリアムよりトランザクション処理速度が速いというメリットがあり、イーサリアムより快適に処理できるDAppsを構築するためのプラットフォームとして注目されています。
少しずつブロックチェーンゲームの開発にも用いられるようになってきているので、今後に期待できそうなプラットフォームです。
NEMはもともとDApps用プラットフォームではなかったものの、ProximaXを実装することによってDApps開発にも利用できるようになりました。
また、NEMの要注目技術である「カタパルト」を利用しているのでトランザクション処理速度が早く、セキュリティ性能も高いといえるでしょう。
なお、ProximaXでDAppsを開発した場合、支払いや報酬に使われるトークンはNEMではなくXPXになります。ここが勘違いしやすいところなので、十分に注意してください。
ほかにも取引速度が極めて速いholochain、分散型の金融プラットフォームをテーマにしたwanchain、スケーラビリティ問題の解決を再重視したZilliqaなどのさまざまなコンセプトのプラットフォームが存在しています。
DAppsに興味があるならこれらのプラットフォームについてもぜひチェックしてみてください。
続いてDAppsを利用したゲームについて紹介します。ゲームはDAppsの中でも最も開発が活発なジャンルの1つなので、要注目です!
Etheremonはさまざまなモンスターを捕獲して育成したり戦わせたりするゲームです。自由度が高いゲームで、レアなモンスターを捕獲すること、最強のモンスターを作り出すこと、モンスターを貸し出して一儲けすることなどさまざまな遊び方ができます。
ゲーム内でのやり取りにはイーサリアムが用いられるので、うまく活用すれば収益化することもできるでしょう。ブロックチェーンゲームに興味があるなら必見のタイトルです。
CryptoKittiesもEtheremonと同様にイーサリアムのブロックチェーン上で動作するDAppsゲームです。
本作ではネコを収集して販売したり、交配させて新たなネコを生み出したりしながら楽しむゲームで、レースやバトルなどの対戦コンテンツも用意されています。
こちらもゲーム内でのやり取りにはイーサリアムが使用されます。
My Crypto Heroesはサイドチェーンを用いたDAppsゲームです。ゲーム内には歴史上の偉人が登場し、集めたり戦わせたりしながら進めていきます。
Loom Networkがリリースしているサイドチェーンを使用しているため、トランザクションの承認が非常に早く、手数料がかからないのが最大の特徴です。
ゲームをプレイするためにはイーサリアムのウォレットを登録するのが基本ですが、Googleアカウントを利用すれば無料(イーサリアム不要)でプレイできるので、お試しプレイをしたい人にもオススメです。
本格的にプレイしたくなったらイーサリアムのウォレットを準備してより多くの機能をアンロックしましょう。
DAppsゲームをプレイするためには基本的にイーサリアムが必要なので、イーサリアムを保管するためのウォレットが必要になります。
イーサリアムウォレットはたくさん存在していますが、その中で最もオススメなのがMetamask(メタマスク)です。Metamaskのインストール方法は次の通りです。
Metamaskについてもっと詳しく知りたい人はこちらもあわせてチェックしてみてください。
【今更聞けない】メタマスク(metamask)の使い方や送金法を徹底解説!
他にも国産イーサリアムウォレットとして「Gowallet」というものもあります。こちらはアプリ型ウォレットで、アプリ内に実装されているブラウザから簡単にDAppsと連携できるのでとても便利です。
国産ウォレットを使ってDAppsゲームをプレイしたい場合は、ぜひGowalletを使ってみてください。
Dappsゲームはただプレイして楽しめるだけではなく、お金を稼ぐためにも使えます。DAppsゲームで稼ぐ方法には次のようなものがあります。
DAppsゲームをプレイするとさまざまなアイテムやモンスター(アセット)を入手できます。これらのアセットはゲーム内で他のプレイヤーとトレードできるため、上手くトレードすれば儲けることができるでしょう。
特にレアなアセットを拾えれば一儲けできるので、DAppsゲームで稼ぎたい人は狙ってみてください。
もちろん、売買だけでなくレンタルでも稼げるので入手したアイテムやモンスターの価格をチェックして最適な運用方法を探りましょう。
多くのDAppsゲームではアフィリエイトプログラムを実施しています。アフィリエイトを実施しているゲームを自分のサイトで紹介し、サイト経由で登録した人が出た場合にイーサリアムを貰える仕組みのものが多くなっています。
アフィリエイトをうまく活用して入手したイーサリアムをゲームに回せばより効率的に資金を運用できるでしょう。
こちらは直接DAppsゲームをプレイして稼ぐ方法ではありませんが、DApps開発企業に投資して稼ぐこともできます。
2019年6月時点ではDApps開発を行っている上場企業は少ないものの、探してみるとセレスなどの企業がヒットするので、事業内容や将来性を考慮した上で投資するのもいいでしょう。
最後にDAppsのメリット・デメリットをチェックしていきましょう。どんなものにもメリットとデメリットがあるので、両面をしっかり見るようにしてください。
DAppsは管理者がいないシステムなので、攻撃しにくく中央集権型のシステムよりセキュリティ性能が高くなっています。
もちろん、100%安全なシステムではないものの既存のシステムよりセキュリティ性能が高いというのは大きなメリットになるでしょう。
さらに、P2Pで動作してサーバが存在しないため、サーバがダウンしてアクセスできないということも起こりません。分散型取引所ならいざという時につながらずにトレードできないということがないので、大きな損失を避けやすいでしょう。
DApps最大のデメリットはスケーラビリティ問題です。これはトレードの増加に伴って処理速度が追いつかなくなる現象で、DAppsユーザーが増えれば増えるほど悪化することが予想されます。
スケーラビリティ問題が深刻化すると送金処理の遅延や手数料の高騰を招くので、今後DAppsが発展するためにはこれを解決しなければならないでしょう。
また、比較的新しい技術のため法規制が及ぶリスクもあります。法規制によって思うように開発できなくなることもあり得るので、こうしたリスクがあることを覚えておいてください。
この記事では分散型アプリケーション(DApps)について詳しく見ていきました。DAppsは次世代のシステムとして世界中で注目されており、今後の発展に期待できそうです。
分散型取引所やブロックチェーンゲームなど、さまざまなものに活用されているので、ぜひチェックしてみてください。もちろん、メリットだけでなくデメリットもあるので注意が必要です。
とはいえ全体として仮想通貨の発展と共にDAppsも発展していくことが予想されるので、今後の動向から目が離せません!
20代男性、都内有名大学卒業後、貿易会社を経て独立。前職中に暗号通貨にハマる。現在はweb関連事業を行う傍ら、仮想通貨やFXトレードも兼業。好きなものはガジェット、ゲーム、自転車。暗号通貨や相場のことを分かりやすく説明することを得意とする。