COIN TOKYO

  • 2019/06/17
  • 2019/06/17
  • コイン東京編集部 新崎優太

龍門キャピタルの日本代表Sonny Wang氏に独占インタビュー!EOSのスーパーノードになった経緯、PoSがもたらす未来、コイン神社への投資の経緯など

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この度は龍門キャピタルの日本代表Sonny Wang氏に独占インタビューを行わせて頂きました。龍門キャピタルはINBlockchainという中国の投資ファンドから派生したファンドで、今までにEOS、コイン神社などのプロジェクトに投資を行っています。それらのプロジェクトに投資を行った経緯や、ファンドという立場だからこそ見える今後のブロックチェーン業界についてのお話などを聞かせて頂きました。

「INBlockchainの一番大きな実績は当時中国国内で一番の取引量を誇ったYunbi取引所を運営していたことですね。残念ながら中国政府が国内でのICOを含めた仮想通貨事業を禁止したことがきっかけで現在は閉鎖されてしまいました。2017年後半に日本に来日したのはそういった経緯もあったんです。」-Sonny Wang氏





―コイン東京
本日はよろしくお願いいたします。まずは龍門キャピタルについて教えていただいてもよろしいでしょうか。


―Sonny Wang氏
よろしくお願いいたします。龍門キャピタルについてお話をする前に、まずはINBlockchainというファンドについて説明をする必要があります。INBlockchain(中国名:硬幣資本)は2011年に創業しました。主な創業者である李笑来(Li xiaolai)はビットコインとサトシナカモトの論文に出会い、世界最強の通貨である米ドル評価で、価格が1ドルを超えたことに対して非常に強い感銘を受けました。何の形も持たないただの電子データであるビットコインが、米ドルの価格を超えるって冷静に考えたら凄いことですよね。

INBlockchainの一番大きな実績は当時中国国内で一番の取引量を誇ったYunbi取引所を運営していたことですね。残念ながら中国政府が国内でのICOを含めた仮想通貨事業を禁止したことがきっかけで現在は閉鎖されてしまいました。2017年後半に日本に来日したのはそういった経緯もあったんです。

本当はシンガポールなど他の国に行く案もあったそうなのですが、彼らが色々と調査した結果、日本はビジネスを展開していくうえで法律面などの基盤が一番しっかりしていると判断したそうです。

他にはZcashやSteemitの初期投資を行っていたりもします。詳しくはホームページに記述されているので、よかったらご覧ください。

http://www.inblockchain.com/

―コイン東京
ありがとうございます。INBlockchainと龍門キャピタルはどのような違いがあるのでしょうか。


―Sonny Wang氏
龍門キャピタルはINBlockchainから派生しています。イギリス領バージン諸島、いわゆるBVIで去年設立されました。投資家の数は現在40人ほどですね。

龍門キャピタルとして関わりのある企業は、コイン神社やEOSのスーパーノードの一つ、そして安橋株式会社ですね。

INBlockchainと龍門キャピタルの違いは、INBlockchainは投資を行うのみですが龍門キャピタルは投資後の支援やフォローなども行います。





―コイン東京
そうだったのですね。それでは龍門キャピタルの詳しいお話を聞いていく前に、まずは王さんのバックグラウンドからお聞きしてよろしいでしょうか。


―Sonny Wang氏
はい。私は小学生の時に来日し、中高時代は中国、大学はまた日本と、親の仕事の関係で日本と中国を行き来した生活を送っていました。大学卒業後、私の同級生たちは外国出身というバックグラウンドを活用するため商社や金融系に入ろうとする人が多かったのですが、当時の私は何故かお酒に興味があったので、日本の大手総合酒類メーカーに就職しました。

入社したメーカーでは主に中華圏や東南アジアそして米国など、海外を担当しており、8年ほど勤めていました。このように元々やっていた仕事はブロックチェーンやビットコインと全く関係ないものだったのですが、2016年ごろ周りの人たちがビットコインの話題に触れ始めるようになったことがきっかけで私も興味を持つようになりました。

そこからはアマゾンで売っていたビットコインの関連書籍を買い漁り情報収集に専念していましたね。

―コイン東京
2016年にビットコイン・ブロックチェーンに出会ったとのことですが、この分野のどういったところに興味を持ったのでしょうか。


―Sonny Wang氏
やはりお金を含めた全ての「価値」の在り方を変える全く新しい仕組みであるという点と、完全な分散型を目指すというコンセプトですね。私が働いていた大手メーカーは、言ってしまえば完全な中央集権型の組織なわけですよね。そこに身を置いている自分からするとビットコインが持つ完全分散型という仕組みとのギャップに非常に感銘を受けました。

当時ではブロックチェーンを用いた新しいビジネスモデルの話も少しずつ出てくるようになり、このままいくと、大きく言えばインターネットの誕生と同じく、人類にとって大きな分岐点になるのではないかと感じました。

今考えれば少しもったいない話ですが、当時はビットコインの根底にある技術に興味があっただけなので、投資を一切行っていませんでした(笑)

―コイン東京
ブロックチェーンというシステムだけに注目していたとはいえ、少し残念に思えてしまいますね(笑)


―Sonny Wang氏
その後、2017年後半にINBlockchainのもう一人の創業者老猫(LAOMAO)が来日しました。当時既にINBlockchainは中国で有名で、老猫(LAOMAO)もインフルエンサーやカリスマ投資家として名を馳せていました。

私もファンの一人として老猫(LAOMAO)のブログを常に読んでいました。運の良いことに友達の紹介を通じて老猫(LAOMAO)と出会うことができて、出会ったその日にチームへ誘われました。





―コイン東京
出会ったその日に誘われたとは、すごいスピード感ですね。


―Sonny Wang氏
正直、いきなりここまで決めて大丈夫なのか!?という心境でした(笑)
私は彼のブログを読んでいるので人となりを知っていますが、彼は私のことを今日の今日まで知らなかった訳なので、うれしい気持ちは勿論のこと不安に思う部分もありましたね。ですので、嬉しいお誘いではありましたが返答はいったん保留にしました。

最終的には3か月後の2018年5月に参加を決意しました。誘われてから色々と悩んだのですが、酒類メーカーでは味わえない、世界を変えるシステムに関わるといった経験ができるということに大きく惹かれたことが決断の理由でしたね。

また、仮想通貨・ブロックチェーンという分野に関わるのであれば、日本の仮想通貨取引所に転職するという手段もあったのですが、老猫(LAOMAO)は中国の投資家で、自分も中国出身であるというメリットを活かせるのではないかと思ったこともきっかけのひとつですね。

―コイン東京
ありがとうございます。それではINBlockchainについて、より深く聞いていきたいと思います。まずは龍門キャピタルの強みはどういったところでしょうか。


―Sonny Wang氏
龍門キャピタルに在籍する投資家は、我々が厳しい基準を以って選定しています。よく皆さんは、仮想通貨への投資は自分自身で取引所を通して買った方が安く済むのに、何故わざわざ手数料を取られるファンドに参加するのかという疑問を持たれるのですが、ファンドを通して資産を運用することのメリットとして、現在2000種類以上あると言われる仮想通貨銘柄から利益を見込めるものを、8年というINBlockchainの長い歴史に基づいた経験を活かして選定することができるのです。

そして実はもう一つあって、ビットコイン投資だけでなく株式投資にも言えることですが、実際に値段が上がっていってもどのタイミングで売るのが一番良いのか個人で判断するのは非常に難しいですよね。先ほども申し上げましたが我々は8年という長い運用経験がありますので、投資家にとって一番利益を得られるタイミングで売却を行うことを目指せるという強みを持っています。

龍門キャピタルが設立される前、INBlockchainはビットファンドというビットコイン向けの投資ファンドを運営していたのですが、そこの第一期目の投資家さんには約50倍のリターンの実績があります。

―コイン東京
確かに、自分の資産が増えるとなったら2倍でも迷わず売ってしまうかもしれません。お話を伺って気になったのですが、ファンダメンタル、テクニカル分析など、トークンの価格を予想する考え方が様々ある中で、ビットコインが50倍の価格になるという判断を下したポイントはどういった部分なのでしょうか。お仕事の根幹にかかわる部分かと思うので言える範囲で構いません。


―Sonny Wang氏
創業者を含め、我々はビットコインのコアなファンですので、当時の値段を見ても、まだまだ価値は上がっていくだろうと確信を持っていました。勿論、ファンダメンタルやテクニカルを用いたチャート分析など、時期的な予想も行いますが、ビットコインとブロックチェーンという技術はこの先もっと世の中に浸透していくだろうという信念を持っていることが一番大きな要因と言えますね。

ファンドの中には資金を活用して市場・価格操作を行っているところもありますが、そうすると短期的に資産は増えても、長期的にみると機会損失をしていると言えます。我々はそういった操作を一切行うことはありませんので、イメージとしては"金庫"という表現が近いかもしれませんね。

―コイン東京
長期的な目線で投資を行っているという意味ではVCに近いイメージですね。龍門キャピタルは現在投資家の新規受付はされているのでしょうか。


―Sonny Wang氏
残念ながら現在募集は行っておりません。ですが、募集終了しているのは現在の1期で、今後第2期目を始める際には改めて募集を行うと思います。もし興味があれば募集が始まった際に龍門キャピタルに直接連絡を頂ければと思います。

http://www.longmen.fund/

ですが、日本は法規制に準拠する必要がありますので、そちらの動向も常に追って頂ければ幸いです。

「INBlockchain、龍門キャピタル、そして私が日本で展開している全ての会社を含めて、日本という市場で非常に長いスパンで事業展開を行っていくという覚悟を持っています。と言うのも、ブロックチェーンは「まだ始まってすらない」と言っても過言ではありません。
」-Sonny Wang氏





―コイン東京
それでは続いて、龍門キャピタルさんが実際行ってきた出資についてお伺いしたいのですが、まず最初に日本の人になじみ深い「コイン相場」アプリを生んだコイン神社さんとの関係についてお伺いできますでしょうか。


―Sonny Wang氏
コイン神社の創業者は徐楽楽さんと沼崎さんの2人なのですが、主に技術系を担当している徐楽楽さんとINBlockchainのスタッフが元々知り合いで、その人が来日した際に連絡を取り合ってお互いの仕事について話す機会がありました。その際にコイン神社さんへ投資を行うことが決まりました。

―コイン東京
そういった経緯だったのですね。ありがとうございます。それでは次も非常に気になる部分だと思うのですが、EOSとの関係性についてお伺いできますでしょうか。


―Sonny Wang氏
EOSはINBlockchainの活動の中で一番関わりが深いプロジェクトと言っても過言ではありません。

当時老猫(LAOMAO)は、中国のYunbi取引所の運営責任者を務めていました。EOSはみなさんご存じの通り1年ほどICOを行っていたのですが、ICOが始まる前、取引所に上場させる必要があると考えたEOSの開発チームblock.oneのCTOが、香港から北京まで飛んできて老猫(LAOMAO)と直接交渉を行いました。

結果、EOSはYunbiに上場したのですが、その時のご縁でEOSとの付き合いが始まりました。ファンドとして投資していることは勿論のこと、今EOSのコンセンサスを司る21のスーパーノードの1つを日本で運営しています。

スーパーノードというのは最近少しずつ注目を集めてきたPoSに関する用語ですね。中国では2年ほど前から話題になってはいたのですが、日本ではやっと最近皆さんに浸透してきたようで、PoSを用いたプロジェクトなども増えていのではないかと感じています。

EOSはPoSのコンセンサスモデルを用いたプロジェクトの中ではトランザクション処理が圧倒的に早い方だと思います。正確に言うとEOSは単純なPoSではなくDPoSというコンセンサスを用いており、選ばれた21のスーパーノードがブロック生成作業を行うため、ビットコイン等に用いられているPoWと比べるとスケーラビリティに優れ、電気代を抑えることもできます。

―コイン東京
確かにPoSは最近日本でも話題になってきましたね。


―Sonny Wang氏
PoWは価値の保管という意味では確かに優れた技術ではあるのですが、トランザクションの処理能力に問題があります。ビットコインのような純粋な価値としての保管・移転であればそこまで早い処理速度は求めなくても良いと思います、というのも現実世界で例えると、数百キロの金を10分以内で他所へ運べるということを考えると素晴らしいことですよね。

ですが、これは純粋な価値の移転という意味に限られます。スマートコントラクトを用いたDapps、分散型アプリケーションのデータをやり取りするには圧倒的に処理速度が足りていません。

最初、スマートコントラクトを実装しているプラットフォームはイーサリアムのみでしたが、ユーザーがそこまで多くない当時ですらトランザクション詰まり等の問題が起こっていました。

そういった状況を見て、ブロックチェーン・スマートコントラクトという技術が本当の意味で社会に浸透していくためにはPoWとは違ったコンセンサスが必要になると感じたことが大きな要因ですね。





―コイン東京
EOSに投資を行ったのも、まず最初にPoSという技術に注目していたからこそということなのですね。


―Sonny Wang氏
その通りです。当時はDappsを構築できるプラットフォームがイーサリアムしかなく、そのイーサリアムも様々な問題を抱えており、開発者から見て納得して開発ができる環境がありませんでした。そういった状況の中で一番技術力のある次世代のパブリックチェーンはどこなのかと調査をしている段階でEOSの方から声をかけてもらったんですね。

EOSは2017年のICOバブルといわれた時期で一番成功したプロジェクトでもありますからね。確か日本円換算で4300億程調達していたかと思います。資金力という部分もEOSの大きな強みと言えますね。

―コイン東京
一つのプロジェクトがそこまで大きな金額を集めたというのはとても凄いことですよね。因みに、こちらもわかる範囲、言える範囲で構わないのですが、EOSプロジェクトの進捗はどのようになっているのでしょうか。


―Sonny Wang氏
EOSの長期的な目標として世界一のDappsプラットフォームになることが挙げられるのですが、まだプロジェクト自体は初期段階だと言えます。よくブロックチェーンプラットフォームの実力を測る一つの指標としてTPSが挙げられ、EOSは最高クラスの水準となっていますが、今後Dappsを世の中に浸透させていくにはまだまだ足らないと思っています。

開発者にとっては、どのプラットフォームよりも簡単にDappsを構築することができ、ユーザーにとってはどのプラットフォームよりも簡単に利用することができるように日々開発を進めています。

EOSは世界中の多くの技術者がアップデートを行っていますので、少しずつではありますが日々進歩しています。

―コイン東京
続いての質問は少し話題が変わるのですが、中国と日本を行き来している王さんだからこそわかる、日本と中国のブロックチェーン事情の違いを教えて頂けますでしょうか。


―Sonny Wang氏
この質問はよく頂くのですが、日本のブロックチェーンと中国のブロックチェーンの違いではなく、文化・法律・社会を含めた国自体の違いという目線で考える必要があると思っています。

そういった目線で考えると、まず日本の大きな特徴として法治国家であるという点が挙げられます。予め定められたルールに則って国が動いているので非常に安定感がありますよね。

逆に中国は、他国に誇れる技術力を持ち、人口も多くユーザーが着いてきやすいという環境を持っていながらも、政策・法律面が安定しておらず、新しいビジネスを始めるには非常にリスキーな状態になっています。

中国で仮想通貨が禁止されたことをニュースで見た人も多いと思いますが、これは仮想通貨だけでなく、中国ではどういった業界でも日常的に起こっていることなんですよね。

そういった目線で見ると、日本は技術のスピードが遅いながらも展開していく上での基盤がしっかりしており、中国は全くの逆であるということが違いとして挙げられると思います。

―コイン東京
国自体の文化・社会から違いを見るというのは面白い考え方ですね。非常に参考になりました。

続いてですが龍門キャピタル、そして王さん自身の今後のビジョンを教えて頂けますでしょうか。


―Sonny Wang氏
INBlockchain、龍門キャピタル、そして私が日本で展開している全ての会社を含めて、日本という市場で非常に長いスパンで事業展開を行っていくという覚悟を持っています。と言うのも、ブロックチェーンは「まだ始まってすらない」と言っても過言ではありません。

海外では日本人には投資家と、仮想通貨に対しても比較的理解のある人が多いというイメージがありますので、多くのプロジェクトが来日しているのですが、上手くいかなかったら直ぐに撤退するなど、長い目で見ているプロジェクトは多くありません。

ブロックチェーンや仮想通貨関係のイベントに行ったことがある人ならわかると思うのですが、海外のプロジェクトで自分たちのトークンを投資家さんに買ってもらうためだけのプレゼンをしている所もありますよね。

今後、日本でもブロックチェーンや仮想通貨が今まで以上に浸透していくと確信しているからこそ、トークンセールの営業といった、周りから怪しいと思われるような活動は一切せず、今の時点からしっかりと日本に根を張り、社会に貢献していくため事業を行っていきたいと考えています。

また、我々だけで活動していくのではなく、多くの日本企業と手を組んでやっていきたいとも考えています。

―コイン東京
ありがとうございます。次が最後の質問になりますが、王さんから見て、ブロックチェーンが浸透した世界というものにどういったメリットがあると思いますか。


―Sonny Wang氏
やはり詐欺、偽証を防ぎ、物事に対する公平性を保つという部分が一番のメリットになるのではないかと思います。現時点での技術では、決済やゲーム、その他サービスに関しても中央集権型の方が利便性が高いのが正直なところだと思います。

ですが、その全てに関わる情報の透明性と信頼性を担保するということは、ブロックチェーン技術が持つ分散性でしか為しえないはずです。

今後ブロックチェーン技術自体が進歩して、社会をより良くしていくことを楽しみにしています。IN Blockchain We Trust!

―コイン東京
本日はありがとうございました!

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