2019年になって「ビットコインETF」というワードを聞く機会が増えてきました。ビットコインETFは今後のビットコイン投資の形を変えるもので、世界中で注目されています。
2019年6月時点でビットコインETFは承認されていないため、今後承認されるかどうかが重要といえるでしょう。
ETFとはExchange Traded Fundsの略で、上場投資信託のことを示しています。上場投資信託は一般的な投資信託とは異なり、以下のような特徴があります。
・いつでもトレードできる
・金融市場で取引する
・リアルタイムで価格が変動する
そのためビットコインETFを簡単に説明すると「投資対象がビットコインである上場投資信託」といえるでしょう。投資家から集めた資金をビットコインで運用し、その価格はビットコインの取引価格と連動するようになると考えられます。
ビットコインを利用した新たな投資になると見られるビットコインETFですが、「2019年6月時点で承認されていない」というのが大きなデメリットです。承認されない限りトレードすることができないため、いつ承認されるかが重要だといえるでしょう。
ここでは2019年に出てきたビットコインETFに関する重要な情報をチェックしていきます。
1月にBitwiseがビットコインETFを申請し、2月11日に証券取引委員会(SEC)が審査を開始しました。この審査の期限は5月16日までだったものの、SECは可否判断を延期しています。
6月時点で審査結果は出ていないため通るかどうかはわかりませんが、審査期限は延長を繰り返しても最長で240日までと定められているので期間内には結果が出るはずです。
また、ほぼ同時期に資産運用会社のVanEckもビットコインETFを申請しています。こちらも延期の判断が出ているため、認可されるか拒否されるかは不透明といえるでしょう。
ビットコインETFの審査に時間がかかっている原因のがクラッキングの問題や価格操作の問題です。ビットコインETFが認可されるためにはこれらの問題に対処しなければならず、対応には時間がかかると予想されます。
そのため、2019年内にはSECの審査に通過することはないのではないなという予想も出ているので、この情報にも注意しておきましょう。
2019年6月時点でビットコインETFはどこの国でも認可されていないため、実際に投資することはできません。しかし、今後各国で承認されれば新たな投資への道が開けるでしょう。
ビットコインETFに主なメリットは以下の通りなので、少しチェックしていきましょう。
ビットコインETFは上場投資信託の一種であるため、これまでの仮想通貨投資とは異なり証券として売買できます。そのため、もし証券会社が破綻したとしても投資者保護によって一定の範囲の資産が保護されます。
また、税制やセキュリティ面などでも大きなメリットがあるといえるでしょう。
日本では2019年6月時点でビットコインのトレードで得られた収益は雑所得として取り扱われ、総合課税の対象になっています。そのため、利益が増えれば税率が上がり、高額の税金を負担しなければなりません。
しかし、前述のようにビットコインETFは証券扱いとなる可能性が高く、申告分離課税の対象になることが予想されます。
申告分離課税の税率は利益の額にかかわらず一定のため、大きな利益を上げた場合に負担しなければならない税額が少なくなるというメリットがあります。
また、損益通算ができるなど他のメリットもあるので、日本居住者にとって税制面での優遇も見逃せないといえるでしょう。
投資信託の一種として証券会社などで取り扱われるようになれば、より多くの投資家がビットコインETFを利用して仮想通貨市場に参入してくることが予想されます。
多くの投資家が参入すれば価格への影響もあるので、今後の動きには要注目です。
市場に参加するトレーダーの数が増えるということはビットコインの流動性が高まることを意味しており、市場がさらに発展していくためには非常に重要なポイントの1つです。
ビットコインETFの承認によって仮想通貨市場自体がより魅力のある市場になるかもしれません。
次に2016年~2018年までのビットコインETFに関する動きを見ていきましょう。ビットコインETFの申請と審査を巡る主な出来事には以下のようなものがあります。
世界で初めてビットコインETFの申請が行われたのは2013年で、その後上場先を変更しながら審査が行われ、結局非承認になっています。
ビットコインETFの審査の流れを簡単にチェックすると次の通りです。
1. SECにビットコインETFの申請を出す
2. SECが出されたビットコインETFの審査を行う
3. 承認または非承認の結果が出る
ただし、出された申請がすぐに承認されたり非承認になったりすることはほぼなく、何度も延期されることがほとんどになっています。そのため、申請が出てから承認または非承認が決まるまでにはある程度の時間がかかるでしょう。
仮想通貨の黎明期から投資をしていることで知られているウィンクルボス兄弟ですが、2016年にビットコインETFの申請を行っています。
承認されれば世界初のビットコインETFになるため、審査の行方には世界中から注目が集まりました。
ウィンボルクス兄弟が出したビットコインETFの審査が2017年3月に終了し、結果は非承認でした。
これを受けてビットコインの価格も下落し、当時1 BTC = 1,270 USD程度だったものが1 BTC = 940 USD程度になっています。下落率は25%以上で、ビットコインETFへの期待の高さを窺い知ることができるでしょう。
なお、ビットコインの価格はその後すぐに上昇に転じています。
その後ビットコインETFに関する請願書がSECに対して提出されたことにより再審査が行われることになりました。
しかし、再審査の結果も非承認となっています。
2018年に入ると、デリバティブ取引所のCBOEがVanEck SolidX Bitcoin SharesというビットコインETFを申請し、仮想通貨市場から大きな注目を集めました。
CBOEは先物取引やオプション取引で有名な取引所で、取引量も多いので多くの人から注目されていました。しかし、この申請も非承認になっています。
8月になると、SECがこれまで非承認としたビットコインETFを見直すを発表しました。この発表を受けて再審査が行われ、承認されることを期待した人も多いでしょう。
8月に発表したビットコインETFの再審査が9月から行われています。
このタイミングで再審査が発表されること自体が異例であり、その後意見書の提出が求められたこともあるので、市場から注目されています。
2018年12月にはVanEckから出されたビットコインETFの審査期限を延期すると発表し、審査が継続されました。2018年下半期以降はこのように審査期限の延期が相次いでいるため、そろそろ承認されるのではないかともいわれています。
しかし、非承認の原因になっているポイントが改善されているとも考えにくいため、すぐに承認されないのではないかとの見方もあります。
いずれにせよ、ビットコインETFを巡る動きには今後も要注目だといえるでしょう。
再三ビットコインETFの申請が出されているものの、SECが承認しないのにはいくつか理由があり、その内容は次の通りです。
ビットコインを始めとする仮想通貨市場はクラッキングによる被害が毎年のように発生しており、セキュリティ上の懸念があります。
また、クラッキングで被害を受けた場合に十分な補償がされないことが多いため、投資家保護の観点から問題があると判断されています。
承認されるためには万が一クラッキング被害が発生した場合にどのように投資家を保護するのかを考える必要があるでしょう。
仮想通貨市場は株式市場や外国為替市場よりも新しい市場であり、価格操作が頻繁に行われています。
取引所のチャートやオーダーブックを見ていて見せ板が出ているのを発見したことがある人も多いかもしれません。このように価格操作が頻繁に行われる市場なので、これに対する対処が必要だといえるでしょう。
各国の立法機関による法整備や適切な規制が必要になるかもしれません。
仮想通貨は不正対策の面でも証券市場より遅れているので、ここも改善しなければビットコインETFが承認されることは無理なのではないかといわれています。
不正取引を防ぐシステムの開発や常時モニタリングなど、安全な取引環境を整えることが必要といえるでしょう。
ビットコインは発行量が定められており、これによって十分な流動性が確保されないのではないかという懸念があります。
流動性の欠如があるとトレードしたいときにトレードできなくなり、大きな問題となるでしょう。
管理者が不在で非中央集権的な通貨であるのがビットコインの最大のメリットです。しかし、ビットコインETFを承認させるためにはこの非中央集権制であることがデメリットと捉えられています。
ただし、これは不正リスクなどを考えるとメリット(管理者による不正が起こりえない)といえるので、正確な理解が広まるようになれば問題とはならないのではないかとも考えられています。
ビットコインETFはこれまで何度も申請が出され、非承認になってきました。しかし、今後承認の可能性があるのかが気になるという人も多いかもしれません。
そこで、ここでは「ビットコインETFが承認される可能性はあるのか」をテーマに少し見ていきましょう。
前述の通り、ビットコインETFの承認を阻む壁には「クラッキング時の投資家保護」、「価格操作がはびこっている」、「不正取引への対処が不十分」、「流動性の欠如が懸念されている」というものがあります。
これがSECの定める基準に達していないために非承認になっていると考えられるため、今後これらの問題にどのように対処していくかが重要だといえるでしょう。
投資家保護や価格操作・不正取引への対処には法整備が必要です。法整備には時間がかかるため、すぐに解決できない可能性が高いといえるでしょう。
そのため、ビットコインETFがすぐに承認されることはないのでないかという意見もあり、どうなるかは不透明です。
2019年内には承認にならないと見ている人もいるため、今後の動きに注目していきましょう。
この記事ではビットコインを投資先に選ぶ上場投資信託「ビットコインETF」について詳しく見ていきました。ビットコインETFは機関投資家が参入しやすくなるなどのメリットがあるので、多くの市場参加者から注目されています。
しかし、2019年6月時点でどこの国でも承認されておらず、非承認となる事例が相次いでいます。また、承認されるためには超えるべき壁がいくつもあるので、実際に承認されるにはまだまだ時間がかかるとの見方もあるので油断は禁物です。
とはいえ、審査中の案件もあるので今後SECがどのように判断するのかに注目していきましょう。ビットコインETFが承認されればあらたなビットコイン投資の道ができるでしょう!
20代男性、都内有名大学卒業後、貿易会社を経て独立。前職中に暗号通貨にハマる。現在はweb関連事業を行う傍ら、仮想通貨やFXトレードも兼業。好きなものはガジェット、ゲーム、自転車。暗号通貨や相場のことを分かりやすく説明することを得意とする。
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