2019年に入ってもなお世界情勢の悪化が続く中、ビットコイン(BTC)価格は上昇し続け、一時は150万円まで急騰しました。
ビットコイン(BTC)が急騰した間の主な政治・経済イベントとしては、次の出来事が挙げられます。
①米中貿易戦争
②G20財務大臣・中央銀行総裁会議(6/8~9、福岡)
③アメリカによるイランへの追加経済制裁(6/24にトランプ米大統領が発表)
④G20首脳会議(6/28~29、大阪)
⑤アメリカ利下げ観測(6/29に米連邦公開市場委員会(FOMC)にて利下げを示唆)
①~⑤のそれぞれのイベントがビットコイン(BTC)価格にどのような影響を与えたのか、まずは振り返りましょう。
6月8日~9日にかけて開催されたG20財務大臣・駐豪銀行総裁会議以降、ビットコイン(BTC)価格が上昇に転じたことがわかります。
さらに6月24日にトランプ米大統領がイランへの追加経済制裁を発表すると、ビットコイン(BTC)価格はさらに上げ幅を拡大し、発表2日後の6月26日には150万円まで上昇しました。
6月28日~29日にかけて開催されたG20首脳会議では、暗号資産(仮想通貨)に関しては目新しい発表はありませんでした。6月29日には、アメリカの利下げ観測が台頭するもビットコイン(BTC)価格がすでに調整場面に入っていたこともあり、価格への影響はありませんでした。
ビットコイン(BTC)に続いて、アルトコインの時価総額上位3通貨について同じ期間の価格推移を振り返ります。
チャートに示した通り、ビットコイン(BTC)価格とアルトコイン価格の値動きは対照的でした。
6月20日以降、ビットコイン(BTC)価格が急速に上昇したのに対して、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、リップル(XRP)の時価総額上位3位のアルトコイン価格は横ばいとなっていることがわかります。
これは「質への逃避」と言われています。世界情勢の不透明感が増大した場合、過去には安全資産とされる金(ゴールド)やドルに資金が流れ、価格上昇につながりました。
今やビットコイン(BTC)が新たに安全資産として位置づけられ始めており、ビットコイン(BTC)もリスク資産からの逃避先として認知されたことが関係しています。
世界の政治・経済イベントとビットコイン(BTC)価格の推移を、それぞれのイベントとともに振り返ります。
チャートにイベントをプロットすることで、どのイベントにビットコイン(BTC)価格が反応したのかがはっきりと見えてきます。
6月8日~9日開催のG20財務大臣・中央銀行総裁会議にて、暗号資産(仮想通貨)への規制が強化されるのではとの懸念により、開催までは買いを手控える動きが続き、値動き幅も狭まっていました。
そのなかで会議終了後の声明文において、規制強化の対象がマネーロンダリングやテロ資金供与への対策に限定され、取引の規制強化など新たにネガティブな内容は盛り込まれず、閉幕後は買いが優勢となりビットコイン(BTC)価格上昇につながりました。
ただし、「リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。」(会議声明より一部抜粋)との文言が盛り込まれており、引き続き価格に影響を与えかねない規制強化の動きに対して注視していく必要があります。
6月24日、トランプ米大統領がイランの最高指導者ハメネイ師と司令官など8名を対象に新たな経済制裁を発表しました。
ハメネイ師への制裁としては、アメリカに保有する金融資産を凍結するもので、国家の最高指導者を制裁の対象とするのは極めて異例のことです。
制裁が発表された当日の6月24日は113万円台~118万円台で推移していましたが、翌25日からビットコイン(BTC)価格は急騰し、制裁発表から2日後の6月25日にはビットコイン(BTC)価格は150万円の高値をつけました。
6月28日~29日かけて行われたG20首脳会議で採択された暗号資産(仮想通貨)に関する内容は、先に行われたG20財務大臣・中央銀行総裁会議の会議声明から大きな変更点はなく、目新しい内容もありませんでした。
新たな規制強化の発表もなく安心感につながりましたが、開幕直前にビットコイン(BTC)価格が150万円まで急騰してすでに調整場面に入っていたこともあり、大きな価格の変化はありませんでした。
2020年のG20首脳会議はサウジアラビアでの開催が決定していますが、G20財務大臣・中央銀行総裁会議と同様、ビットコイン(BTC)価格に影響を与えやすい規制強化の内容が盛り込まれる兆しがないかどうか、注視していく必要があります。
6月24日に米連邦公開市場委員会(FOMC)にて利下げが示唆されるも、声明文発表直後はビットコイン(BTC)価格の反応はありませんでした。G20首脳会議と同様、直前にビットコイン(BTC)価格が150万円まで急騰し、その後の調整場面に入っていたことが影響したと考えられます。
しかし、ビットコイン(BTC)価格とアメリカの債券利回りは、密接に関係し相関性が非常に高いことがわかっています。下記が高い相関性を示すチャートです。
ビットコイン(BTC)価格が上昇するに比例して、アメリカ10年債利回りが下落していることがわかります。
ビットコイン(BTC)価格とアメリカ10年債利回りの相関性を示す相関係数をチャート下段に示しました。相関係数は高い時には-0.9と、相関性が高いとされる-0.5を上回り非常に高い相関性が示されています。
2019年5月以降に限っても、相関係数が-0.5を超える日が非常に多く、ビットコイン(BTC)価格とアメリカ10年債利回りの相関性は高いことがわかります。
アメリカ10年債利回りの動向は、ビットコイン(BTC)価格を予想するうえで非常に重要な指標であり、ビットコイン(BTC)を買うタイミング、売るタイミングのわかりやすいサインになりますので、特に重要視してチェックしておきましょう。
2018年から続く米中貿易戦争により、金(ゴールド)と同様にビットコイン(BTC)を安全資産として位置づける動きが広がっています。
下記のチャートは、2019年のビットコイン(BTC)価格と金(ゴールド)の価格推移を表しています。
チャートを確認すると、2019年の4月半ばより、ビットコイン(BTC)価格と金(ゴールド)価格の連動性が強まっていることがわかります。それ以前にも、相関関係にあるとされる0.5を上回る0.8以上をつけて強い相関を持つ場面が断続的に発生していましたが、4月以降は高い相関を示す期間が長期化しています。
ビットコイン(BTC)も金(ゴールド)と同様に安全資産として位置づけられ、中国では中国元の逃避先としてビットコイン(BTC)が買われている可能性があります。
ビットコイン(BTC)は金(ゴールド)になぞらえて「デジタルゴールド」と呼ばれますが、今後米中貿易戦争が終息する兆しが見えなければ、さらにビットコイン(BTC)を安全資産として買う動きが強まり、価格上昇につながるでしょう。
今後のビットコイン(BTC)価格に影響を与える可能性のある、注目イベントを先取りしました。
いずれも無視できない重要なイベントです。関連するニュースはチェックしておきましょう。
①G7、G20などの首脳会議
②アメリカの利下げ
③8月に迫るビットコインETF承認
2019年6月に開催されたG20では暗号資産(仮想通貨)では、マネーロンダリングやテロ資金供与の規制強化にとどまり、ビットコイン(BTC)価格への影響はありませんでした。
しかし今後、規制が強化される可能性も否定できませんので、関連ニュースには引き続き注視していく必要があります。
今年の重要な会合スケジュールは下記の通りです。
・7月17日(水)~18日(木) G7財務大臣・中央銀行総裁会議(フランス)
・8月24日(土)~26日(月) G7サミット(フランス)
・10月14日(月)~15日(火) APEC(経済協力開発機構)(チリ)
・10月18日(金)~20日(日) IMF(国際通貨基金)世界銀行年次総会(アメリカ)
以上が2019年下期に予定されている重要会合です。
会合前に観測記事が出れば、今後のビットコイン(BTC)価格に影響を与える可能性があります。関連するニュースは重点的にチェックしましょう。
先にビットコイン(BTC)価格とアメリカ10年債利回りの高い相関関係について説明しましたが、最も連動性が高い指標の一つだけに欠かさずチェックしていきましょう。
利下げの実施や利下げ示唆は、アメリカの連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で発表されます。(日本に置き換えれば日銀金融政策決定会合に当たる。)
・7月30日(火)~31日(水)
・9月17日(火)~18日(水)
・10月29日(火)~30日(水)
・12月10日(火)~11日(水)
通常、FOMCは2日間にわたって開催され、2日目の会合終了後に声明文が発表され、決定事項が明らかになります。しかし、FOMC開催前より市場ではアナリスト予想や観測記事が出始め、金利はその内容に沿って変動します。
FOMCでの決定よりも先に10年債利回りが変動するケースも少なくありませんので、関連したニュースのチェックは必須です。
ビットコイン(BTC)のETF(上場投資信託)の承認の可否が、今後のビットコイン(BTC)価格の方向性を決定づけます。
ビットコインETFは、ビットコイン価格に連動するように設計され、株式と同じように取引ができる金融商品です。
ETFが承認されれば、ビットコイン(BTC)を金融商品として取引できるようになるため、現状で暗号資産(仮想通貨)の取引ができない機関投資家が参入しやすくなります。また、ハッキングリスクなどを嫌う個人投資家もビットコイン(BTC)に投資しやすくなり、ビットコイン(BTC)価格上昇の起爆剤になると期待されています。
BitWiseとVanEckの2社がアメリカの証券取引委員会(SEC)にビットコインETFの承認申請を出しており、うちBitWiseが申請したETFの判断が8月14日(水)に、VanEckについては8月19日(月)に結果が判明する見通しです。
今後のビットコイン(BTC)価格の急騰にも急落にもつながる、暗号資産(仮想通貨)投資家が最も注目する大きなイベントの一つです。観測記事により今後のビットコイン(BTC)が影響を受ける可能性もありますので、こちらも最重要視してチェックしておきましょう。
早稲田大学卒、幾多の投資会社やファンドを渡り歩いた金融家。株式15年、FX10年、仮想通貨3年の投資歴。アルトコイン中心に、各プロジェクトの進捗などファンダメンタル重視。また、株や世界マーケットと併せた分かりやすい分析も得意とする。空手黒帯、格闘家のメンタリティも併せ持つ心優しき相場人。
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