クレジット(信用スコア)は金融界で最も退屈な話題とされてきましたが、ブロックチェーンや仮想通貨の出現によって「最もエキサイティング」な話題にもなりました。
日本やアメリカなどの国では、"クレジット"は制度化されています。しかし、金融システムの構造の小さな歯車の一部としてクレジットが存在するとき、それはとても退屈です。日本のような安定した状況にある国では、「クレジットがない」ということ状況はアウトローであり、エキサイティングでもあります。それはある意味、雨風の日が時として楽しく感じることと同じです。
世界のその他の地域では、アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジアの多くの国々と同様に、制度的にクレジットはほとんど存在しません。まったく存在しない場合もあります。その国に住む人々は住宅や車をクレジットで買うことはできず、事業を始めるためにローンを組むこともできません。
しかし、制度的なクレジットの供与を受けていない国では、非常に発達したインフォーマルな(または社会的な)クレジット制度を有する傾向があります。例えば、インドでは今日持ち帰る牛乳の代金を明日支払うと店主に言うことは珍しいことではありません。これを東京のセブンイレブンですることを想像してみてください。
クレジットは人々の生活から摩擦を取り除きます。非制度的なクレジットでは、十分なお金がない人でも牛乳を買うことを可能にします。制度的なクレジットでは、十分なお金を持っていない人でも車を買うことを可能にします。
クレジットとは信頼です。
インドの店主は、お金を支払わずに後払いで牛乳を買った人(借り手)を知っています。店主(貸し手)は、借り手が近所に住んでいることや、借り手の過去の行動、借り手の友人や知人を知っています。こうした社会的なつながりは、借り手が最終的に牛乳の代金を支払う可能性を高くしています。この「社会的信用」が融資を保証します。
クレジットが制度化されると、インドの話のようにはいきません。銀行があなたを知っていたとしても、銀行の株主はあなたを知りません。それでは、どうすれば社会的な保証なしに、借り手がローンを返済してくれると信用できるのでしょうか。それは簡単に言えば、お金を貸す代わりに、彼らはあなたが失いたくない何か、資産であれ評判であれ、あるいはその両方であれ、それらを確保しようとします。
この「担保」と呼ぶことができるいずれかの資産は、ローンの返済を保証するために提供されます。イギリスでは、ローンが返済されない場合、借り手は担保資産を入手することができます。家を買うために資金を借りる場合、契約された返済をしなければ銀行が家を入手することができます。これをローンの清算と呼びます。この担保は貸し出した資金を回収するために売却され現金化されます。
したがって、担保は債務返済の執行メカニズムとして機能します。単純ですが、残念ながら多くの場合、それは十分ではありません。
不動産市場が、住宅購入のためにローンを組んでから、銀行が返済しないことに気づくまでの間に暴落したらどうなるでしょうか。そうなると、その家を買うために貸した金額は、その家の清算金額と見合わなくなるでしょう。
それでは、返済を確保するために、金融機関としての貸し手は借り手から何を得ることができるでしょうか。インドの店主が確保するものとよく似ているのが、借り手の評判です。
評判は貴重です。その所有者にとって最も貴重なものです。良い評判を失うことの損失は壊滅的なものになり得ます。
インドの店主は、ある人が借金を返済していないことをコミュニティに伝えることで、その人の評判を落とすことができます。いったんそれが判明すれば、問題となった人が他の売主から信用される可能性は低くなるでしょう。
ローカルなコミュニティとの直接的な関わりを持たない金融機関も本質的に同じ力を持っています。それは、すべての先進国経済に存在するクレジット・レポートとスコアリング・システムのおかげです。
そのメカニズムはシンプルです。
1. 貸し手は顧客の行動を信用調査機関に報告する。
2. クレジット供与を依頼された金融機関は、信用調査機関に借り手の過去の行動の要約を依頼する。
3. 信用調査機関は、その行動をクレジットスコアとしてまとめる。
クレジットスコアの低い人にとって、次のようなことは難しいでしょう
・新たな融資を受ける
・携帯電話の契約を結ぶ
・家を借りる
・特定の仕事を探す
クレジットスコアが低いという形での評判の失墜は、破滅的な結果を招きかねません。
これが従来のクレジットの仕組みですが、暗号通貨の領域では何が起きているのでしょうか。
この質問に対する答えは、"近い未来に「DeFi レンディング」の領域で何が起こるのか【後編:1兆ドルものレンディングが可能に】"を読んでください。
近未来に「DeFi レンディング」の領域で何が起こるのか【後編:暗号通貨領域におけるクレジットと大きな市場のポテンシャル
MurphyはGraychainの共同創設者兼CEOで、ソフトウェア業界で20年以上に亘って経験してきました。この20年間、彼は4つの大陸を渡り歩いています。キャリアの最初の10年間はJPモルガンやソロモン・ブラザーズなどの顧客のために、ウォール街の大規模なシステムを理解し構築することに専念しました。この分野において探求したことで、マーフィーは幅広いコンピューティングソリューションを深く理解することができました。 その後、9.11同時多発テロの後に退職し、ロンドンに移りました。ロンドンでは、クレジットカード詐欺の検知と防止の分野におけるアウトバウンド・コールの自動化の先駆者であるAdeptraで勤務しました。マーフィーが開発したシステムは、テキスト読み上げ技術と音声認識技術を幅広く活用しています。電話通信とコンピューティングの融合を探求した結果、マーフィー氏は音声認識と自然言語処理のパイオニアで、AIを広く活用するClarifyを設立することに繋がりました。 今回のGraychainはマーフィーにとって5番目のスタートアップです。マーフィーは暗号通貨をベースにした金融システムが、人々を驚かせ、喜ばせるような形で世界を変えると強く信じています。