約3年前、非常に気前の良いVCやICO投資家達が、一部の起業家に無担保融資事業を始める資金を提供しました。BTCJamのように倒産した会社もあれば、 Ripioのようにビジネスモデルを変えた会社もあります。これらのスタートアップは、人々がローンを確実に返済するためにあらゆる賢い方法を試みました。しかし、ほとんどの戦略は機能せず、投資家のお金が消え去りました。
この初期の失敗経験の中から、今日の数々のDeFi レンディングプロジェクトが立ち上がりました。ご存知かもしれませんが、 SALT、Compound、Dharma、dxdy、 Cred などが例として挙げられます。
彼らは先駆的な取組みをしています。暗号通貨の保有者がそれらの資産を担保として利用し、暗号通貨や法定通貨(ステーブルコインの形で)を借りることを可能にしています。これは、自分の暗号通貨の価値が上がると確信している場合や、キャピタルゲインを得ることなく現金が必要な場合に非常に便利です。
担保付き融資は目新しいものではありませんが、これらの企業はさまざまなイノベーションを導入しています。これは、暗号通貨の性質によるものです。最近のボラティリティによってステーブルコインは、暗号通貨クレジットの仕組みの一部として機能しています。トランザクションの多くは、データにリアルタイムで対応できるスマートコントラクト(契約)によって管理されるため、契約の設定項目は従来よりも柔軟にすることができます。ブロックチェーンは(金融機関と違って)週末には休業しないので、契約はいつでも清算または決済することができます。
これらのイノベーションにもかかわらず、これらのローンプラットフォームを構築・管理する企業はほとんどリスクを負っていません。担保として差し出しされた暗号通貨の価値が貸出残高の価値を下回るか、借り手が返済条件を満たさない場合、貸し手は担保を清算しても、依然として利益を得ることができます。
残念ながら、リスクを取らないことにはマイナス面があります。これらの会社は、事業拡大や収益向上などの機会を取り逃しています。
現在、多くの計画が進行中であり、それらは非常に興味深いものです。
現在のDeFiのレンディンググループは、保有する担保の量を減らし、ローンを清算するまでの時間を増加させるために取り組んでいます。これらは、いずれも利益率を高めるでしょう。
また、貸し手の行動に対するクレジットリミットを増やすことにも取り組んでおり、その結果、担保として必要な暗号通貨はさらに少なくなっていきます。その際、暗号通貨の代わりに評判を用います。これが可能になるのは、暗号通貨のクレジット・データが利用できるようになるからです。その結果、固定資産(ハードアセット)と信用情報機関の両方に依存し、延滞債務者のリスクを軽減している伝統的な金融機関と同じ仕組みを、暗号通貨のレンディング事業者は享受することになります。
しかし、今日のDeFiのレンディング事業者は一人ではありません。多くの企業が、ひそかに暗号通貨のレンディングの事業化を計画しています。
金融サービスにバックグラウンドがある方なら誰でも、健全なクレジット市場が金融システム全体にとっていかに重要かを知っています。今日のDeFi領域にいる人のほとんどは、そのようなバックグラウンドを持っています。
デジタル資産を持っている人は誰でも、それを貸したいと思うでしょう。これが従来の銀行の収益獲得方法であり、デジタル・カストディアンが今後収益を得る方法です。
暗号通貨のクレジットデータを利用できれば、新規参入者がレンディング分野に殺到する可能性があります。
今日、暗号通貨のレンディングは主に取引戦略として存在します。この方法で資産を活用する人たちはとても洗練されている人たちです。日常的な取引での暗号通貨の使用は増加しており、今後も増加し続けます。並行して、私たちは、部分的に、あるいは全く担保されていない、より伝統的なローンに近い方式のローンの需要を見ることになるでしょう。この需要に対する供給を確保するのには時間がかかりますが、その需要のボリュームは誰もが驚くことになるでしょう。
暗号通貨のクレジット・データの非常に興味深い特性の1つは、人ではなくブロックチェーン・アドレスに関連づけられていることです。これには2つの予想外の示唆があります。
まず、匿名で融資ができるということです。あるアドレスのクレジット・スコアがプラスの場合には、そのアドレスの背後にいる人物を知っているかどうかは重要でしょうか?そうではありません。この種の融資は、(法規制によって)多くの地域では実行不可能ですが、世界は広大であり、将来多くの貸し手が管轄権を持たなくてよくなるでしょう。完全に自律的なものもあり得えます。
自律的といえば、人々が保有するウォレットの他に、ブロックチェーン・アドレスの背後に何をみつけることができるでしょうか?それは、スマートコントラクトです。スマートコントラクトも時として資金を借り入れる必要があるでしょう。コントラクト自体の評判が良ければ、それができて然るべきでしょう。そのようなコントラクトはまだ存在しませんが、サプライチェーン上のdAppsが取引をブリッジするために、短期的に流動性を必要とすることは容易に想像できます。
少し、突飛な議論になってきていますが、ここまでは宣言通りです。
今日、伝統的な金融システムは、毎年何兆ドルものローンを発行しています。
暗号通貨領域で数十社が、同様の規模のローンを発行するために必要なインフラの構築を進めています。それだけでも十分エキサイティングですが、話はそこで終わりません。暗号通貨のユニークな特性のおかげで、今では想像もできないようなユースケースをサポートする、これまでにないクレジット商品が出現するでしょう。
こう考えると、1兆は保守的な見積もりですね。
MurphyはGraychainの共同創設者兼CEOで、ソフトウェア業界で20年以上に亘って経験してきました。この20年間、彼は4つの大陸を渡り歩いています。キャリアの最初の10年間はJPモルガンやソロモン・ブラザーズなどの顧客のために、ウォール街の大規模なシステムを理解し構築することに専念しました。この分野において探求したことで、マーフィーは幅広いコンピューティングソリューションを深く理解することができました。 その後、9.11同時多発テロの後に退職し、ロンドンに移りました。ロンドンでは、クレジットカード詐欺の検知と防止の分野におけるアウトバウンド・コールの自動化の先駆者であるAdeptraで勤務しました。マーフィーが開発したシステムは、テキスト読み上げ技術と音声認識技術を幅広く活用しています。電話通信とコンピューティングの融合を探求した結果、マーフィー氏は音声認識と自然言語処理のパイオニアで、AIを広く活用するClarifyを設立することに繋がりました。 今回のGraychainはマーフィーにとって5番目のスタートアップです。マーフィーは暗号通貨をベースにした金融システムが、人々を驚かせ、喜ばせるような形で世界を変えると強く信じています。