図らずも、2018年のコインチェック流出事件(※)で一般的にも有名になってしまったNEMですが、元々は、日本人に大人気の仮想通貨で、その将来性は大きく期待されているものでした。
NEMとは、New Economy Movement (日本語で言う「新しい経済圏」)の略で、イーサリアムなどと同じく分散型アプリケーションプラットフォームです。
NEMとはプロジェクト名のことで、NEMプラットフォーム上で発行されるトークンがXEMとなります。
(※)2018年1月26日、当時日本有数の仮想通貨取引所といわれていたコインチェックから、クラッキングによりNEM(XEM)建ての顧客資産など約580億円が流出しました。原因は、コインチェックがマルチシグ対応を怠っていたこととされ、NEM(XEM)自体には何ら問題はありませんでした。
仮想通貨プロジェクトNEMの目的とは、仮想通貨本来の役割である中央集権を排除し、中央管理者や特定の通貨保有者に力が集中しない平等な新しい経済圏(New Economy Movement)を作ることです。
現在、世界経済は大きな曲がり角に差し掛かっているといわれますが、この最大の要因となっているのが、資本主義の問題点でもある「貧富の差」で、米国、中国、欧州は言うに及ばず、世界中で貧富の差が広がってしまっています。
NEMには、こんな不平等な状況を回避すべく、すべての人がなるべく平等に稼ぐことができる仕組み(PoI)が組み込まれています。
コインチェックNEM流出事件の際に、NEMの流出経路を追って、流出したNEMがどこに存在するのかを突き詰めていたことで一躍有名になったのがNEM財団です。
一時、日本人が理事となっていたこともあり、何かと注目されていましたが、2018年以降の大暴落相場の中では存在感が薄れていました。
ネム財団は、2019年1月に、それまでのプロモーション活動を中心とする体制から、プロダクトに特化した体制へと移行しています。
仮想通貨が長期的に大暴落する中、中央集権やスポンサーに依存しない仮想通貨では、非効率的な存在となる「財団」の在り方も、変わらざるをえないということなのでしょう。
当初は、「NEM財団倒産か?」という噂も出ていましたが、これについてはNEM財団は強く否定しており、あくまで組織改編であることを強調しています。
カタパルトとは、NEMに実装予定のアップデートのことで、最大の注目点となるのが、カタパルト実装によりトランザクション処理能力が向上するという点です。
カタパルト実装により、NEMの価値は飛躍的に向上することになるのですが、これまで何度も延期されてきているという経緯があり、その都度XEMの価格は乱高下することになっています。
厳密には、カタパルトは5段階に分けてアップデートを行いますが、現時点では2019年3Qから4Qにかけてアップデート予定となっています。
2017年後半からの仮想通貨暴騰相場では、NEM(XEM)の最高値は日本円(JPY)で245.813円まで高騰しています。その後の暴落相場では、何と3円台まで下落し、現在では6円台で推移しています。
2018年以降続いた仮想通貨の長期下落相場も、いよいよ終わりを迎えようとしています。2019年後半以降のNEM(XEM)の価格はどうなるのでしょうか?
NEM(XEM)の月足のチャートです。オレンジ色のラインは1年移動平均線です。
日経平均株価などで非常に重要な指標として利用される1年移動平均線ですが、仮想通貨相場にも大変有効で、ビットコインは本年4月に1年移動平均線を超えた瞬間から急騰し、150万円手前までの上昇トレンドを発生しています。
NEM(XEM)の相場も、2017年を見てみると、この1年移動平均線がサポートラインとして機能しており、11月、12月と1年移動平均線を下抜かないことを確認してから、暴騰相場がスタートしています。
2018年以降は、3月に1年移動平均線を下抜いて以降はレジスタンスラインとなっており、本年の5月以降はこのラインに絡まった動きを見せています。
この1年移動平均線を明確に上抜けたところから、NEM(XEM)の相場は大きき変化していくことになるのではないでしょうか。逆に、このラインを上抜けなければ、現在の相場が続くということになります。
過去の相場において、カタパルトがNEM(XEM)の相場に影響を及ぼしたのではといわれることがありましたが、これは、少しばかり無理やり話を結び付けている感がありました。
例えば、2018年5月にはmijinの一般公開でNEM(XEM)の価格が急騰したといわれますが、この時期には他の仮想通貨も急騰しており、チャート的にも他の仮想通貨とほぼ同じ動きとなっています。
本年に実施されたCowアップデート時に、価格がほとんど動かなかったことからも明らかでしょう。
むしろ、カタパルトがNEM(XEM)の価格に影響を与えるのはこれからだと思われ、事実、この数か月での動きは本年3Q、4Qのカタパルト実装を意識したものと思われます。
このチャートは、昨年から今年にかけてのNEM(XEM)の週足のチャートです。
本年2月に安値を付けて、4月から始まるビットコイン(BTC)相場につれ高して上昇相場を形成していますが、他のメジャー通貨などと比較すると、NEM(XEM)の上昇率は非常に大きく、ビットコイン(BTC)の上昇率に近い相場を形成しているのです。
この動きは、言うまでもなくカタパルト実装の影響であると思われます。今後、カタパルト実装関連のニュースが出ると、価格は急騰する可能性があるでしょうし、逆に、またもや延期というニュースが出ると急落することになるでしょう。
2019年8月時点では、NEM(XEM)の価格は日本円で7円弱という水準です。
今後、NEM(XEM)の価格が上記月足チャートの1年移動平均線を明確に上抜けて、本格的な反発相場となった場合、まずは、第1関門として、反発相場で到達することが多くみられるフィボナッチリトレース23.6%ラインがあります。
このラインは、現在のJPYレートで55円台にあります。仮に、これも反発相場で意識される水準であるフィボナッチリトレース38.2%ラインとなると、JPYレートでは87円台となります。
フィボナッチリトレース38.2%ラインまで行くと、現在の価格の10倍以上の価格となりますが、2019年の3Q~4Qにかけてカタパルト実装が現実化したら、それほど無茶な価格帯だとも思われません。
まさに、NEM(XEM)のの今後を左右するカタパルトについて、しっかりと理解しておきましょう。敵を知り、己を知れば、投資は非常に有利になりますよね。
ネム(NEM)がこれほどまでに注目されるのには、以下の3つの特徴があるからです。
1.トランザクション処理能力向上
カタパルトが実装されると、NEMのトランザクション処理能力が向上すると言われておい、仮想通貨(決済系)の最大の問題であるスケーラビリティが解消されることになるのです。
2.マルチレベルマルチシグ
マルチレベルマルチシグとは、マルチシグによって資産(Asset)をコントロールする仕組みです。
通常のマルチシグは、1回のみ複数のシークレットキーのみで署名を行いますが、マルチレベルマルチシグではそれを複数回実行します。これにより、ハッキングなどの不正操作の可能性を大きく引き下げ、より強固なセキュリティを実現します。
3.アグリゲートトランザクション
アグリゲートトランザクションとは、マルチシグが揃うと複数の取引がまとめて実行される仕組みのことです。
肝心のカタパルトの実装はいつごろになるのでしょうか?
カタパルトがこれほどまでに注目されているのに、NEM(XEM)の価格が低迷している理由ともいえますが、これまでカタパルトの実装時期は延期の発表が繰り返されています。
これまで、カタパルトの実装に関しては延期を繰り返したNEMですが、NEM財団の組織改編を経て、3月にカタパルトアップデートのロードマップが公開されました。
2019年8月時点での最新情報では、カタパルトの実装は本年の第3四半期から第4四半期の予定となっています。
ネム(NEM)の最新ニュースを見ていきます。
・リップル社、NEM財団、エマーゴなど欧州ブロックチェーン協会を設立、規制構築でEU当局に働きかけ(2018年12月)
・ネム(NEM)が中国のオンライン芸術作品市場GUBIと提携、データの信用管理にブロックチェーン活用(2018年12月)
・マイケナス(Maecenas)がNEM、Ox、MakerDAOと協力し、「ピカソ絵画オークション」を開催!絵画をトークン化する理由とは(2018年12月)
・ネム(NEM)がアルゼンチンジャーナリスト組合と覚書を締結、著作権管理にブロックチェーンを活用(2019年1月)
・ネム(NEM)財団が組織再編を発表、「倒産危機」報道に代表が反論(2019年2月)
・ネム(NEM)がモバイル決済アプリZeuxに統合、英国でApple payとSamsung Payでの支払いが可能に(2019年5月)
仮想通貨NEM(XEM)を購入するなら、以下の取引所がおすすめです。
いまや名実ともに世界最大規模の仮想通貨取引所となったBinanceです。日本の金融庁の指導により、日本語対応などはなくなりましたが、相変わらず日本人に大人気の取引所です。
海外取引所にアカウントを作成するなら、まず1番に抑えておきたい取引所です。
国内取引所でネム(NEM/XEM)を取り扱っているのは、コインチェックとZaifです。コインチェックは、すでにマネックスグループとして生まれ変わっており、金融庁の認可も取得済みです。
元々使いやすさで定評のあったコインチェックに、強化されたセキュリティ、マネックスグループの信頼性が加わりました。
コインチェックとともに国内取引所としてネム(NEM/XEM)を取り扱っているZaifです。Zaifもコインチェック同様に流出事件が発生しますが、現在では、フィスコ社に事業譲渡して再出発しています。
フィスコ社とは、株式の世界では知る人ぞ知る有名な会社で、特に、仮想通貨でトレーディングを検討している人にはおすすめです。
最後に、簡単にネム(NEM/XEM)について説明しておきます。
通貨名 | ネム(NEM) |
トークン | XEM |
リリース | 2015年 |
発行上限数 | 8,999,999,999XEM(全量発行済) |
時価総額 | 60,523,621,612円(2019年8月7日現在 |
コンセンサスアルゴリズム | Proof of Importance |
公式サイト | https://nem.io/ |
公式twitter | https://twitter.com/nemofficial?lang=ja |
ネム(NEM)は、PoI(Proof of Importance)という独自のテクノロジーを用いて、仮想通貨の取引を承認しています。この仮想通貨の承認のことをコンセンサスアルゴリズムといい、重要性が高まることで報酬を獲得することができるという仕組みです。
重要性とは、①NEMの保有量、⓶NEMの取引量という2つの指標で決まります。取引量を報酬獲得の指標に加えることで、XEMを保有する流動性が担保されます。
ビットコインやイーサリアムでは、富裕層が報酬を獲得しやすい欠点がありますが、PoIを採用することで欠点を改善します。何故なら、NEMを確保して、さらに取引しないと重要度は上がらない仕組みとなっているからです。
PoIを採用しているネム(NEM)では、承認作業はマイニング(採掘)ではなく、ハーベスト(収穫)と呼ばれます。つまり、ハーベストとは、NEMのブロックチェーン上で行われた取引を承認する作業のことで、約1分に1回行われ、ハーベストした人に報酬が支払われます。
ハーベストには、スーパーノードと呼ばれるものがあり、これを持っていると毎月高額の報酬を得ることができます。
ただし、このスーパーノードで高額の報酬を得るには、300万以上のNEMを所有する、24時間稼働するサーバー、高速インターネット回線など厳しい条件を満たす必要があります。
コインチェックNEM流出事件として、世の中的には一躍有名になりましたが、それ以前から日本人には特に人気の仮想通貨でした。
ネム(NEM)というと、カタパルト実装時には価格が急騰するのではという期待感が高い通貨として見られていますが、価格だけではなく、本当に実装されたら世の中を大きく変えてしまうことになりそうです。
現在、XEMの価格は7円弱というところですが、この価格の意味するところは、カタパルトは当分実装されないと市場は見ているのではないのかと疑いたくなります。
それだけに、実装に向けて動き出している今こそ注目していきたいですね。
20代男性。都内名門高校卒業後、ベンチャー企業を経てコイン東京へ。二次元好きのセミプロゲーマー、好きが嵩じて仮想通貨やDappsゲーム、ブロックチェーン技術の世界にハマる。ゲーム知見と理数的素養から、最新の技術もカバーしつつ、プロジェクトの情報収集や分析を最も得意とする。
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