インジケーターは、相場の過熱感を示す重要な指標です。
過熱感とは、通常よりも取引高が急増することで高い数値となり、相場の転換点などを教えてくれます。
ただし、過熱感だけでは簡単にトレードで利益を生み出すことはできません。
なぜなら、過熱感があると相場が終了することも多いのですが、強い相場の場合には過熱感は高いままで、投資のサインとしては使えないケースが多いのです。
相場の過熱感から、もう高値(安値)だろうと判断しエントリーしても、そこからさらに暴騰(暴落)することも多く、その場合には多大な損失が発生することになります。
こんなケースで役に立つのがダイバージェンスです。
インジケーターにダイバージェンスが加わることで、大変精度の高い投資手法となります。
ダイバージェンスは「逆行(逆行現象)」とも呼ばれ、相場(チャートの動き)とテクニカル指標(インジケーター)の動きが逆行する現象のことを言います。
例えば、RSIダイバージェンス(逆行)、MACDのダイバージェンス(逆行)などは大人気の投資手法として利用されています。
数あるインジケーターの中でも、ダイバージェンスとの相性が最も良いのがMACDです。
過熱感を示すインジケーターの最大の欠点は、「ダマシが多い」ことですが、インジケーターとしては反応が鈍い(頻繁に出現しない)MACDは、単独でもダマシが少なく、これにダイバージェンス(逆行)を加えることで精度が非常に高くなります。
MACDダイバージェンスの見方は、それほど難しいものではなく初めての方でも簡単に利用することが可能です。
MACDの見方についてはこちらを参照してください。
MACDのダイバージェンスがよく利用されるのは、相場の重要な転換点(高値・安値)を知らせるサインとして有効だからです。
2020年はコロナショックにより、多くの投資市場が大暴落していますが、日経平均株価にきれいなMACDのダイバージェンスが示現されており、コロナショック発生前から異常を察知することができました。
このチャートは、日経225の日足チャートで、下のほうがMACDとなります。
2019年後半は、ニューヨーク株式市場の歴史的な新高値更新が続き、日経225も強い動きから24,000円台を回復し更なる高値更新が期待されていました。
上の赤い矢印(上向き)は株価が上昇していたことを示しています。
ところが、これと同じ時期のMACDを見ると、赤い矢印は下向きになっており、株価が強い動きを見せているのに対して、MACDは弱い動きとなっていました。
つまり、株価の強い上昇相場に対して、MACDは弱い動きになっているダイバージェンス(逆行現象)が発生していたのです。
通常、さらに高値を追うような相場であれば、株価が強ければ同じく過熱感を示すMACDも比例して強い動きとなるのですが、ダイバージェンス(逆行)が発生する場合には相場が転換点を迎えている可能性を知らせてくれます。
この後、コロナショックにより株価は大暴落するわけですが、MACDのダイバージェンスは2019年12月頃にはすでに異常を察知していたことになります。
この12月という時期は、新型コロナウィルスが発生した時期とも重なっており、興味深いところです。
過熱感から相場を判断するインジケーターには、ダイバージェンスに加えてリバーサルという重要な手法があります。
リバーサルとは、ダイバージェンスがトレンドの転換(天底を確認する)のサインであるのに対して、トレンドの継続のサインとなります。
分かりやすく言うと、リバーサルとは、安値が切り上がっているのに対して、MACDは切り下がっている場合のことを言います。
具体的に、リバーサルの事例を見ていきましょう。
ビットコインのリアルタイム4時間足のチャートです。
中央部分の黒い矢印に注目してください。
5月10日、半減期を控えたビットコインに大量の売り注文が発生し15万円ほどの急落を見せます。
コロナショックもあり、ここから先行きが不安視されるところで、さらに安値を更新するのではと思った人も少なくなかったでしょう。
ところが、ビットコイン4時間チャートでは、安値は切りあがりを見せており、これに対してMACDは切り下がっており、リバーサルが発生していました。
つまり、MACDリバーサルが発生したことから、4時間チャートではトレンド継続、すなわち安値更新ではなく、反発が継続することを示唆していたのです。
事実、相場はその後も反発を継続し100万円台を回復します。
このケースでは、典型的な押し目買いのタイミング(リバーサルの買いサイン)であったことが分かります。
また、このケースとは逆に、高値が切り下がり、MACDは切り上がっている場合には、戻り売りのタイミング(戻り売りのサイン)となります。高値を更新しないので、下に行く可能性がより高いと判断します。
インジケーターにおいて、ダイバージェンスが発生した場合にはトレンド転換のサインとして利用し、逆に、リバーサルが出現した場合には、トレンド継続と判断し、押し目買いや戻り売りのサインとして利用します。
このトレンド継続を示すサインとして活用できるリバーサルには、コンバージェンスとヒドゥンダイバージェンス(隠れたダイバージェンス)という2種類があります。
ダイバージェンスを利用するインジケーターとして人気なのは、今ではMACDが主流ですが、以前はRSIが主流で株式投資などでは今でも多くの投資家に愛用されています。
このRSIで活用するリバーサルのことをコンバージェンスと呼び、MACDで活用するリバーサルのことをヒドゥンダイバージェンスと呼びます。
ダイバージェンスには、RSIを活用したものと、MACDを活用したものなどがあります。
それではどちらを活用するのが良いのでしょうか?
もともと日本では、株式長期投資などで逆行という名称とともにRSIで利用されることが多かったのですが、短期売買が主流になるにつれ、より精度の高いMACDを活用する人が増えてきました。
長期投資であればどちらを使ってもそれほど差はないでしょうが、短期投資の場合にはより精度の高くなる(ダマシが少ない)MACDのダイバージェンスをおすすめします。
では、実際のFXや株式のトレードでは、ダイバージェンスはどのように活用されているのでしょうか?具体的に解説していきます。
冒頭部分で解説しましたように、インジケーターの最大の欠点となるのがダマシが多いというポイントです。
MACDを活用したダイバージェンスは、その中ではダマシが少ないインジケーターとして活用されているのですが、実際のトレードでは、さらに精度を高めるために他のテクニカル分析と併用して用いられます。
一般的には、トレンドライン、ボリンジャーバンド、一目均衡表、あるいはフィボナッチリトレースメントなどのフィルター的なサインツールとして、テクニカル分析の勝率を高めるために活用されます。
前述のように、基本的にはダイバージェンス単独でエントリーすることはそれほど多くなく、通常はテクニカル分析のフィルターとして活用されますので、エントリーについてもテクニカル分析などのメインツールに従います。
例えば、一目均衡表のフィルターとして活用する場合、基本数値や対応数値で高値(もしくは安値)をつけた可能性がある場合、MACDでもダイバージェンスが発生していたら、基本数値や対等数値のタイミングでエントリーします。
ダイバージェンスは、逆張りに有効な手法ですから、高値や安値(天底)を見極める際に活用することで、フィルターとしての有効性を発揮します。
逆張り手法のダイバージェンス自体には、エグジットするべきサインは発生しません。
仮に、ダイバージェンス単独でエントリーした場合には、予めエグジットポイントを決めておく必要がありますし、だましの可能性も考慮して、損切りポイントを設定しておく必要があります。
基本的には、フィルターとして活用する場合には、メインのテクニカル分析に従いエグジットします。
ダイバージェンスとは、相場の勢いを判断するインジケーターですから、トレンドフォロー型ではなく、逆張り手法として活用されます。
テクニカル分析などで、そろそろ天井や底値を付けるのではと思われる際に、フィルターとして活用し、ダイバージェンス(逆行)が発生していたらエントリーします。
最後に、リバーサルの実際のトレードでの活用方法を解説します。
リバーサルは、トレンド転換のサインであるダイバージェンス(逆行)に対して、トレンド継続のサインとなります。
従って、トレンド発生後のトレンドフォローの際に有効に活用でき、押し目買いや戻り売りのタイミングを見極める際に利用します。
リバーサルは、基本的に高値・安値ともに切りあがること(トレンド継続)が前提となり、この条件が崩れた場合にはエグジットします。
考え方としては、ダウ理論に非常に近くなりますので、ダウ理論の考え方を取り入れることで、さらに有効な投資手法となります。
20代男性。都内名門高校卒業後、ベンチャー企業を経てコイン東京へ。二次元好きのセミプロゲーマー、好きが嵩じて仮想通貨やDappsゲーム、ブロックチェーン技術の世界にハマる。ゲーム知見と理数的素養から、最新の技術もカバーしつつ、プロジェクトの情報収集や分析を最も得意とする。