COIN TOKYO

  • 2019/09/30
  • 2019/09/26
  • コイン東京編集部

『リップル総合まとめ』の著者GiantGox氏インタビュー!

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リップル(Ripple)総合まとめの著者GiantGox氏インタビュー!

―コイン東京
最初の質問が個人的なもので恐れ多いのですが、GiantGoxという名前はマウントゴックス事件でゴックスしたことに由来するものなのでしょうか。


―GiantGoxさん
いえ、まったく関係ないですね(笑) 私が仮想通貨投資に興味を持ったのはマウントゴックス事件後の2014年中旬なんです。だからマウントゴックス事件はおろか、同年5月にXRPレジャーの考案者のジェド・マケーレブがXRPを投げ売りした「ジェド売り事件」すら経験していないんです。

それで名前の由来なんですが、最初はゴールドマンゴックスという名前にしようと思ったのですが、当時クリプト界隈にゴールドマンモナさんという方がいて被ってしまうと思い「GiantGox」にしました。

―コイン東京
てっきりマウントゴックスの被害者の方なのかと思っていました(笑) GiantGoxさんと言えば「リップル(Ripple)」ですよね。そもそもなぜ仮想通貨業界に参加したのでしょうか。


―GiantGoxさん
もともと海外で不動産投資をする予定で既に手付金まで支払っていました。でも、2014年2月にマウントゴックス事件が起きたことでビットコインが話題になっていて、せっかくなのでビットコインについて調べてみようと思ったのがきっかけです。
ビットコインについて調べていると必然的に「ブロックチェーン」にたどり着き、私はもともとエンジニアだったこともあり、ブロックチェーンという新たなテクノロジーの可能性に魅了されました。しかし同時に、ビットコインにはまだまだ様々な問題が残されていることも知りました。

そして、他の仮想通貨のことも調べていく内に「リップル」と「XRP」に出会いました。意外と知られていないのですが、リップル社の創業期のメンバーはビットコインの初期の開発者達なんです。現在同社の会長を務めるクリス・ラーセンとともに会社を立ち上げた共同創業者のジェド・マケーレブもマウントゴックスの創業者ですし、クリプト業界ではJoelKatzとしても知られるデイビッド・シュワルツもビットコインの初期のコントリビューターです。

更にリップル社元CTOでインターレジャー・プロトコル(ILP)の考案者でもあるステファン・トーマスもビットコインのJavaScript版「Bitcoin JS」を開発した人物です。当時CEOだったクリス・ラーセンは、アメリカで史上初めてクラウドファンディング(P2Pレンディング)のサービスを起ち上げたプロスパーの創業者でフィンテック業界では伝説的な存在でした。同社の創業期のメンバーは、この業界ではまさにドリームチームと言っても良い顔ぶれでした。

―コイン東京
リップルに注目し始めたのは、チームの信頼性が理由だったのですね。


―GiantGoxさん
当時から仮想通貨界隈には詐欺のようなプロジェクトが多く存在していましたので、リップル社が「合法的にブロックチェーンと仮想通貨技術を活用する」というところにフォーカスしていたのが一番の魅力でした。その他のプロジェクトの多くは仮想通貨技術の実用化よりも「自分達が作った仮想通貨をいかに高く売り抜けるか」ということばかり考えていました。それで開発者を含む業界関係者や取引所が結託してそういうことをしていたんです。

リップル社も創業期はそういった人達が経営に関与していたみたいですが、クリス・ラーセン達のグループがコンプライアンスを重視したりXRPの分配方針を見直したことで、結果的にそういう人達は喧嘩別れして出て行ってしまいました。多くの人達はそのタイミングでリップルには見切りを付けましたが、私にとってその出来事は逆に良い意味でインパクトになりました。

―コイン東京
改めてお伺いしたいのですが、GiantGoxさんから見たリップルの魅力とはどういった部分になるのでしょうか。


―GiantGoxさん
リップル社はXRPのことを当初から仮想通貨ではなくデジタルアセット(デジタル資産)と呼んでいますが、やはり一番は合法的にそのデジタル資産を実用化するための取り組みを行っていることです。私が仮想通貨の勉強を始めた頃は、仮想通貨に関わる多くの人が仮想通貨技術を使っていかに違法に何かをするかということを考えていました。

例えば「銀行法をすり抜けて国際送金をしてやろう」とかそういう様なことですね。だから各国は仮想通貨の利用自体を違法にしてしまうことだって出来たと思うんです。でも、リップル社は仮想通貨の黎明期から各国に仮想通貨の合法化に動いてもらうために、規制当局や議会との協議を積極的に行っていました。現在では多くの国が仮想通貨を合法化する流れになってきていますが、これにはリップル社の取り組みが大きく寄与していると思っています。

そして、世界中の台帳を相互接続するインターレジャー・プロトコルを応用したRippleNetが実用化されて、バンク・オブ・アメリカや三菱UFJ銀行といった各国を代表する金融機関が次々と参加を表明し、現在は公表されているものだけでも200を超える金融機関がRippleNetに参加しています。2018年10月にはRippleNetでXRPを活用するxRapidの商用利用が正式に開始され、既に国際送金大手のMoneyGramもxRapidを利用した国際送金を開始しています。

また、2019年2月にxRapidの採用を表明したイギリスのユーロ・エクシム銀行がRippleNetを貿易金融に活用する取り組みを開始していますが、今後はXRPが貿易金融でも活用されると予想しています。インターレジャー・プロトコルという技術自体は法定通貨だけでなくあらゆる価値の交換に利用できるため、xRapidのような製品が仮想通貨の交換にも応用される可能性もあると考えています。

―コイン東京
GiantGoxさんがリップルについて調べ始めた当時は、特に国内においては情報が乏しかったと思いますがどのような状況だったのでしょうか。


―GiantGoxさん
今のようにニュースサイトや大手メディアが取り上げることはほぼありませんでしたし、国内だとほとんどの情報は2ch(現在の5ch)のような匿名掲示板にしか流れていませんでした。だから仮に情報が見つかったとしても、それが正しいかどうかすら分からないという状態でした。そのため、そこに集まったごく少人数の小さなコミュニティの中で「この情報はどういったものなのか?」、「本当に正しいのか?」とお互いに情報や意見を出し合って勉強していくしかありませんでした。

最初は『2ちゃんねるwiki』にリップルに関するニュースを時系列にまとめた年表やXRPの購入方法を私が簡単にまとめ始めました。当時XRPを買う為に必要だった専用ツールの配布が停止されたため、その問題を解決するための方法なども掲載していました。

―コイン東京
GiantGoxさんはリップルの魅力を多くの人に伝えるために『リップル総合まとめ』というサイトを運営していらっしゃいますよね。このサイトを始めたのはいつ頃になるのでしょうか。


―GiantGoxさん
『リップル総合まとめ』のブログを始めたのは2016年6月末です。2015年11月頃にリップラー座談会というTwitterのDMグループを5~6人の仲間と始めたのですが、そのグループのメンバーが10人、20人と増えていく過程でグループのメンバーから「GiantGoxさんが発信している情報をブログに纏めてほしい」という要望が出たのがきっかけで、『リップル総合まとめ』というブログを作ることにしました。ですから、このブログ自体は不特定多数に情報を発信しているというよりも、リップラー座談会で情報を共有しているメンバー向けに作られているんです。

―コイン東京
『リップル総合まとめ』は国内でも有数のリップル情報サイトになったと思うのですが、GiantGoxさんはこのサイトがユーザーに及ぼした影響をどうお考えになられていますか。


―GiantGoxさん
私は自分のことを仮想通貨業界でよく言われる「インフルエンサー」のような影響力がある存在だとは思っていないんです。仲間内でリップルに関して「自分はこう思うよ」という意見を出し合っているうちに『リップル総合まとめ』のようなブログが出来上がったんです。

インフルエンサーというのは「XRP Tip Bot」を作っているWietse Windさんとか「Coil」のようなXRPレジャーを推進する取り組みに参画している人達とか、実際にXRPやILPを活用する技術にたずさわっている人達のことを言うのだと思います。だから、自分がこの業界に何か大きな影響を与えたとはまったく思っていません。

『リップル総合まとめ』を作ったことで一番良かったと思えることは、たくさんの人達がインターネット上に流されるリップルやXRPに関する嘘に気付いてくれたことです。自分も最初にインターネットでXRPについて調べ始めた頃は、「リップル社がXRPを無限に売り浴びせている」といったような情報が流れていて「そうなんだ」と思いました。

でも、自分はテレビやネットで流れている情報を鵜呑みにするタイプではありませんから、過去に遡って分配状況を調べてみたら一切そういう事実は無かったんです。その他にもリップルに関するネガティブな情報が流れていましたが、そのほとんどが根拠の無いデマでした。誰がやっているのかは知りませんが、ネットに流れている情報を鵜呑みにしてはいけないという典型ですね。

―コイン東京
XRPは今でこそ日本国内で有名な仮想通貨の一つとなりましたが、いったい何がターニングポイントになったと思われますか。


―GiantGoxさん
2016年10月にコインチェックがXRPの取り扱いを始めたことが一つのターニングポイントだったと思います。コインチェックは2018年1月に起きたNEMの盗難事件のイメージが強いかもしれませんが、XRPの価格形成には日本のコインチェックがとても重要な役割をしました。

もともとXRPはゲートウェイと呼ばれる事業者が顧客資産を預かり、IOUと呼ばれるJPYやUSDに紐付いたステーブルコインをXRPと交換する方式で取引が行われていました。そのため、現在一般的な仮想通貨取引所のほとんどがXRPの取り扱いをしていませんでした。さらにXRPを嫌う業界の体質がありましたから、特に大手の取引所は意図的にXRPの取り扱いをしていませんでした。

だから日本国内でXRPを買おうとするとマイナーな事業者にお金を預け、さらに自分でXRPの取引を行うツールをビルド(プログラムを実行ファイルにする手続き)して購入する必要があったんです。その頃XRPの価格は1円以下でしたが、常識的に考えても一般の人がそういうことをしてXRPを購入するのはかなり難しかったと思います。

ところが2016年10月にコインチェックがXRPの取引に対応することを発表したんです。当時、日本の大手仮想通貨取引所はビットフライヤーとコインチェックしかありませんでしたから、同社がXRPの取り扱いを開始したことは相当なインパクトがあったんです。実際、コインチェックによる取り扱いが開始されて半年も経たないうちに、XRPの価格は高騰しました。

―コイン東京
GiantGoxさんはAmazonのKindleで『リップル総合まとめ』の電子書籍をリリースされましたね。なぜこのタイミングで電子書籍をリリースしようと思ったのでしょうか。


―GiantGoxさん
とくに「このタイミングで」という理由はありません。元々は電子書籍を販売するとかは考えていなくて、とりあえず紙媒体で「今までお世話になった方々に配ろうかな」という程度に考えていました。

そもそものきっかけは、XRPが1円以下だった頃から付き合いのある人達から「自分達が経験した一連の出来事を投資の記録として残したい」という要望があったため、リップル総合まとめのコンテンツを製本して配ろうという考えからでした。だから原稿も電子書籍で出版することはあまり考慮して作っていなかったんです。

そうこうしているうちにツイッターのフォロワーさんを中心に「リップルについてもっと詳しく知りたい」という声を多く頂くようになり、紙媒体ではなく気軽に読むことのできる電子書籍という形でリリースすることにしました。また、海外のXRPコミュニティではXRP Tip BotのようなXRPを普及させるための活動がされていますが、日本のコミュニティとしてそれといった活動ができていなかったため、何か小さなことでも力になれればと思ったのも一つの理由です。

―コイン東京
ディスコード(Discord)のコミュニティを立ち上げたのもそういった想いがあったからなのでしょうか。


―GiantGoxさん
ディスコードはリップラー座談会の音声チャット用に利用していたものですが、リップル社や海外のXRPコミュニティなどの外部と日本のコミュニティを繋ぐ連絡窓口が無かったため一般に公開して利用してもらうことにしました。一言で「XRPコミュニティ」と言ってもその存在はモヤッとしたもので、例えばリップル社が日本のXRPコミュニティと連絡を取ろうと思っても特定の個人に連絡するぐらいのことしか出来ませんでした。
それでは不便なので、リップルやXRPに関するニュースの共有や連絡窓口として機能するように座談会のメンバー達と協力して現在の形にしました。こういうコミュニケーション用のプラットフォームが1つあるだけでも出来ることが広がりますからね。

―コイン東京
ありがとうございます。最後に、GiantGoxさんから見た「XRPの今後の期待できる点」を教えて頂きたいです。


―GiantGoxさん
電子書籍にも書いたのですが、リップル社は『価値のインターネット』を実現することを同社のビジョンとして掲げています。これは電子メールやLINEで文字や情報を簡単に送れるように、お金や物の価値を瞬時に相手に届けることができる世界を実現しようという目標です。例えば消費者が何かを買ってお金を支払うとき、販売店だけではなくその商品を製造したメーカーや部品の生産者にも直接お金が支払われる仕組みを作りたいと言っています。

景気循環が起こる理由は、需要が増えると生産が追いつかずにインフレになり、生産が軌道に乗った頃には需要が減り供給過多になってデフレが起こることです。これは消費が行われてから部品会社や農業生産者にお金が届くまでに時間がかかり、需要にあわせた供給ができるようになるまでに時間がかかるため、需要と供給を一致させることが難しいからです。リップル社が推進するRippleNetは、この問題に対する一つのソリューションになるのではないかと思います。

また、インターネット技術の標準化団体がRippleNetで使われているインターレジャー・プロトコル(ILP)の標準化を進めていますが、多くの人がこのILPで何ができるようになるのか知らないのではないでしょうか。そういう自分自身もあまり詳しく知っているわけではありませんが、例えばILPを応用するとAPIの呼び出しに対して課金ができるようになります。

APIというのは、あるプログラムが別のプログラムを呼び出すときに使うインターフェースです。例えば旅行会社のシステムが航空券の予約をするときに、旅行会社のシステムだけでは処理は完結しません。外部の航空会社のシステムに問い合わせをして空席情報などを確認する必要がありますよね。だから旅行会社のシステムは航空会社のシステムとの通信にAPIを利用します。

でも、このAPIの呼び出しに対してその都度リアルタイムに課金することが今は出来ません。ILPを使うとそれが出来るようになるんです。これからIoTの時代になって、世の中のモノがインターネットで相互接続されるようになると、小さなシステム同士が協調して動くようになります。でも、それぞれの機能の呼び出しに対して小さな単位で課金できないと困ります。将来はAI(人工知能)の呼び出しをする際にこういった機能が使われるのかもしれません。「ねぇ、○○。今日の天気を教えて。」といった具合にです。

―コイン東京
多くの人はリップルと言えば国際送金というイメージを持っていると思うのですが、お話を伺うと国際送金はあくまでリップル社のビジョンの一要素に過ぎないのですね。


―GiantGoxさん
リップル社にアメリカを代表する経済学者やホワイトハウスの元経済顧問(NEC議長)が役員として参画していることもまったくの無関係ではないと思うんです。同社が主催している「SWELL」というカンファレンスにもワールド・ワイド・ウェブを考案した人物や元FRB議長などが招かれていたり、世界経済やインターネット技術に関わる世界中の有識者たちがリップル社の技術に注目しています。

国際送金の話で言えば、2008年9月に起きたリーマンショック後にインターバンク市場の流動性が減少し、従来のコルレス銀行を経由する方式の国際送金が難しくなっているそうです。
リップル社はかなり早い段階でそれらの問題に取り組む団体にも参加していましたし、ブロックチェーンという技術を現実の世界で活用するための『ユースケース』を見つけて実際に製品・サービスとして提案しているのではないでしょうか。残念ながらいろいろな事情があって私は技術者としてそれに関わることが出来なかったのですが、そういう将来性に期待してXRPに投資したりリップル社の取り組みを応援しています。



今年初冬、XRPファンコミュニティイベントが開催されます。そこでこの記事の寄稿者であるGiantGoxさんの書籍も参加者全員にプレゼント!

■イベント名
XRP MEETUP JAPAN

■イベント詳細
日時:2019年11月10日(日) 13:00-17:00
場所:東京都中央区銀座
定 員:300名
参 加 費:4000円
スポンサー:SBI VC Trade, Bitrue
*なお抽選申し込みは終了いたしました。

■イベント内容
XRPファンコミュニティによる交流イベントが開催されます。
SBI VC Tradeの基調講演、著書「アフター・ビットコイン」などを手掛ける中島真志氏、Ripple社CTOのDavid Schwartzの講演が決定。

■イベントに関する詳細→ https://xrpmeetupjapan.com/

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