FTXとは、一般的な先物取引や現物取引のみならず、レバレッジトークンやハッシュレート先物など独自のデリバティブ商品を提供する仮想通貨取引所であり、今後、仮想通貨デリバティブ取引のオプションとして多くの投資家に利用される可能性があります。
多くの方が知らなかったこの仮想通貨取引所FTXが一躍その名が知られるようになったのが、世界最大手の仮想通貨取引所Binanceによる戦略的な出資が報じられてからです。
2019年12月20日、Binanceは仮想通貨取引所FTXに戦略的出資を行ったことを公表しています。(出資額は公表されていません。)
これに伴い、BinanceはFTXトークン(レバレッジトークン)を上場しますが、投資家の混乱を招いたとして2020年3月に廃止し、さらに5月に独自のトークン(レバレッジトークン)として再度上場しています。
Binanceが投資する、注目の取引所である、FTXとはどんな取引所なのか、今回具体的に解説していきます。
FTX取引所のHP
高機能なレバレッジ取引所として注目されるFTXですが、ここではその主力商品ともいえるレバレッジトークン、MOVE先物契約について分かりやすく解説します。
FX取引で強制ロスカットを食らってしまい、ポジションが解消されてしまったという経験はトレーダーなら誰しも経験しているでしょう。
そして、同時にロスカットされた直後から相場が反転し、もう少し証拠金に余裕があったなら損する必要はなかったのにという経験も、多くのトレーダーが経験していることでしょう。
何故ならば、相場が大きく動くときとは投げ売りによって引き起こされるからで、多くのトレーダーがここで失敗するからです。
FTXのレバレッジトークンとは、まさにこの問題を解決するために登場したデリバティブ商品であり、何と強制ロスかったが存在しない商品なのです。
レバレッジトークンが他の仮想通貨FXと違うのは、通常は、仮想通貨(例えばビットコイン)に一定のレバレッジ比率をかけてトレードします。
ところが、レバレッジトークンは商品そのものがレバレッジがかけられた商品となっており、1つの商品として現物取引を行います。
レバレッジトークンには、予め5種類の商品が提供されており、その中から選択してトレードします。
5種類の商品は以下のような名称になっています。
・MOON(レバレッジ10倍/ロング)
・BULL(レバレッジ3倍/ロング)
・HEDGE(レバレッジ1倍/ショート)
・BEAR(レバレッジ3倍/ショート)
・DOOM(レバレッジ10倍/ショート)
簡単に言うと、レバレッジ10倍と3倍のロング(買い)の商品と、レバレッジ1・3・10倍のショート(売り)の商品が提供されており、これらのレバレッジトークンをFXではなく、スポット(現物)取引することで、実質的に証拠金取引を行うことになります。
ビットコインの場合であれば、FTXには「BTCMOON」「BTCBULL」「BTCHEDGE」「BTCBEAR」「BTCDOOM」が提供されています。
ビットコインが上昇すると思えば、「BTCMOON」もしくは「BTCBULL」を、下落すると思えば「BTCHEDGE」「BTCBEAR」「BTCDOOM」をトレードするという感じです。
レバレッジトークンには5種類の商品が提供されていると解説しましたが、なぜわざわざこんな面倒なことをするのでしょうか?
それこそが、強制ロスカットなしの秘密です。
証拠金取引のようなレバレッジをかけながら、スポット(現物)取引となりますので、FXや先物取引のような強制ロスカットはありません。
レバレッジトークンでは、日本時間の午前11時に「リバランス」が入るようになっており、予め5つの商品ごとに決められたレバレッジ倍率になるように調整されています。
レバレッジトークンには、この「リバランス」機能が備わっているため、通常の証拠金取引のように証拠金維持比率を気にしたり、大きな損失を被った際の強制ロスカットを受けることはありません。
上記のように、レバレッジトークンでは一定の維持率になるように1日1回のリバランスが実施されます。つまり、レバレッジ比率となるように売買が行われるため、通常のFX(証拠金取引)の同じレバレッジを掛けた場合に比べて、損益幅が広がることになります。
FXと同じ3倍や10倍のレバレッジであっても、レバレッジトークンのほうが大きな収益が目指せることになります。もちろん、逆に損失が出る場合にもより大きな損失が発生す売ることになるので注意が必要です。
MOVE先物契約(MOVEコントラクト)とは、ビットコイン(BTC)の価格変動率で価格が決まるトークンのことです。
例えば、上記チャートのBTC-MOVE-2020Q4というトークンを見てみましょう。
チャートの価格は、ビットコインの価格の上昇・下落とは関係なく、価格がどのくらい動いたのかという価格変動率で上下します。
ビットコイン(BTC)のようなボラティリティの高いコインでは、価格の暴騰・暴落が心配ですが、MOVE先物契約では暴騰にせよ、暴落にせよ、価格が動くことで収益を目指します。
FTXは、2019年4月にトレーダーがトレーダーのために設立した、暗号通貨デリバティブ取引プラットフォームです。
設立したのは、1億ドル以上の資金を運用する投資会社のアメラダリサーチです。
2019年12月にFTXの株式に投資したBinanceによると、同時点でのFTXの1日あたりの平均ボリューム(取引高)は5億ドル近いと述べています。
注文手数料は、ユーザーの30日間の取引ボリューム、およびメーカー(指値)・テイカー(成行)かによって以下のように定められています。なお、レバレッジトークンには毎日0.03%のメンテナンス料(金利のようなもの)が発生します。
Tier | 30日間ボリューム($) | メイカー手数料 | テイカー手数料 |
---|---|---|---|
0 | 0 | 0.02% | 0.07% |
1 | >3m | 0.02% | 0.05% |
2 | >5m | 0.02% | 0.045% |
3 | >10m | 0.015% | 0.04% |
4 | >30m | 0.015% | 0.035% |
5 | >50m | 0.01% | 0.03% |
VIP | >100m | 0.01% | 0.025% |
FTXでは以下の通貨を取り扱っています。
・FTT(FTXトークン)
・BTC(ビットコイン)
・ETH(イーサリアム)
・USDT(テザー)
・TOM(トマホークコイン)
・TRX(トロン)
・MATIC(マティックネットワーク)
・EOS(イオス)
・XRP(リップル)
・BCH(ビットコインキャッシュ)
・ALGO(アルゴランド)
・XTZ(テゾス)
・ATOM(コスモス)
・LTC(ライトコイン)
・BTMX(ビットマックストークン)
・ETC(イーサリアムクラッシック)
・LEO(レオコイン)
・LINK(チェインリンク)
・HT(フォビオトークン)
・ADA(カルダノ)
・BNB(バイナンスコイン)
・OKB(オーケーイーエックス)
・BSV(ビットコインSV)
・DOGE(ドージコイン)
・TRYB(ビリラ)
この他にも主要なアルトコインで構成されたAltcoin Index(ALT)、取引所トークンから構成されるExchange Token Index(EXCH)、中規模時価総額のMidcap Index(MID)、小規模時価総額のShitcoin Index、匿名通貨から構成される匿名通貨詰め合わせ(PRIV)などのIndex(インデックス)も多く提供されています。
他の海外取引所同様に、FTXの口座開設・登録も簡単にできます。
FTX公式サイト(日本語表記できます)の右上の「登録」(英語表記の場合は「REGISTER」)をクリックし、メールアドレスとパスワードをクリックすると登録は完了します。
これで登録完了ですが、この段階では仮想通貨の出金限度額が合計1000USD(10万円)となっています。
1000USD以上引き出すためには、個人情報の登録が必要となります。
個人情報の入力は、登録アドレスの「Wallet」から「VERIFY IDENTITY」をクリックし、名前と居住地域、国籍を入力し「SUBMIT INFOMATION」をクリックします。
これで、引き出し限度額が1日2000USDとなります。
さらに、引き出し限度額を無制限にしたい場合には、居住地域を入力し、居住地の証明書類、ID(身分証明書)の前後、ID(身分証明書)と当日の新聞紙を併せて撮影した写真の3点を添付して、「SUBMIT INFOMATION」をクリックします。
口座開設の際には、忘れずに2段階認証の設定も行っておきましょう。
2段階認証は、個人の項目「Settings」から「Two-Factor Authentication」を選択、タブを開いて「Google Authenticator」か「SNS」のどちらかを選んで設定します。
仮想通貨取引所の口座開設は、2段階認証設定が完了した時点で登録完了と考えるようにするとよいですね。
FTX取引所での取引方法を解説します。
入出金方法は、基本的には他の取引所と同じ方法です。
入金するには、アカウントの「Wallet」から該当する通貨の「DEPOSIT」を選択し、仮想通貨を入金するためのアドレスを取得します。
表示されるアドレスの横にある「コピー」をクリックします。
国内取引所などから送金が完了すると、FTXの残高として反映されます。
出金は、アカウント画面上の「WITHDRAW」を選択し、送金したい仮想通貨の量、送金先のアドレス、2段階認証のコードを入力すると完了手続きは終了します。
こちらがFTXのチャート画面です。画面では、ビットコイン(BTC)先物取引(無期限)を表示しています。
通貨は、上の部分の通貨名をクリックすると、選択した通貨のチャートが表示されます。チャートは、TradinguViewのチャートが使用されていますので、多種多様なテクニカル分析やインジケーターなどの高機能なシステムを利用できます。
チャート画面の下に板情報などが表示されており、ここから注文を出します。デフォルトではこの並びになっていますが、カスタマイズすることも可能です。
画面には、左に注文板、真ん中に注文画面、右に確定した取引の一覧が表示されます。
なお、レバレッジの倍率はデフォルトでは、10倍に設定されていますが、3~101倍まで設定することができます。
レバレッジを変更するには、「Setting」の「Margin」から希望のレバレッジに変更できます。
レバレッジトークンの取引方法も簡単です。
ビットコイン(BTC)のレバレッジトークンの場合には、上部の通貨のBTCを選択し、「トークン」タブから種類を選びます。
「BULL」「BEAR」と表記されているのが、レバレッジトークンです。
レバレッジトークンの種類を選んだら、チャートの下の部分の板情報などを参考に注文画面から注文を出します。
なお、FTXの注文画面からは以下の7通りの注文方法が利用できます。
・指値注文
・成行注文
・ストップ指値注文
・ストップ成行注文
・トレイリングストップ注文
・利益確定注文
・利益確定指値注文
目的に合わせて使い分けるようにしましょう。
個人投資家の為替取引ではFXが主流になっているように、仮想通貨取引でもレバレッジ取引の拡大が予想されており、実際にBitMexやBinanceのレバレッジ取引はすでに大きなシェアを獲得しています。
レバレッジ取引の拡大とともに、多種多様な派生商品が登場してくることが予想されます、そんな中、いち早く多種多様なレバレッジ商品を提供する仮想通貨取引所FTXは要注目の取引所となりそうです。
40代男性。大手証券会社、大手通信会社の経営管理を経てセミリタイヤ。職務経験から、広く事業や経済動向、株式・先物・為替市場に精通。長らく株式トレードを行い、暗号通貨は2017年から。仮想通貨だけでなく、ビジネスや世界マーケットを絡めた視点から大人の分析ができるビジネスマン。
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