ボリンジャーバンドとは、移動平均線から価格推移が収まりやすい幅を計算してラインで表示することによって作られる指標です。1980年代にジョン・ボリンジャーが考案したことからボリンジャーバンドと呼ばれています。
ボリンジャーバンドを利用すれば、価格から買われすぎなのか売られすぎなのかを判別することができるでしょう。順張りトレード・逆張りトレードのいずれにも使える指標なので、使い方をしっかり覚えておいてください。
ボリンジャーバンドは中心となる移動平均線と標準偏差(分散の正の二乗根)から作成されるテクニカル指標です。ボリンジャーバンドの基本となる考えは次の通りです。
したがって、ボリンジャーバンドは真ん中のライン(中心線)を構成する「移動平均線」と「σ(シグマ)」と呼ばれる基準から乖離したデータが集まる確率を視覚化したラインを使って今後の価格を予想します。
ボリンジャーバンドには基準線となる移動平均線の上下に「σ(シグマ)」と呼ばれる標準偏差を表すラインが表示されています。このσとは移動平均線を計算する際に利用したデータのバラツキから導き出されるラインです。
ボリンジャーバンドに使われているラインを一覧で紹介すると次の通りです。
この5本のラインを利用して売られすぎ・買われすぎを判断して今後の価格推移を予想します。
場合によっては+3σ・-3σのラインを表示させることもあります。また、簡略化したボリンジャーバンドでは移動平均線と+2σ・-2σの3本のラインしか表示されないこともあるでしょう。
チャートソフトによって若干の違いがあるものの、ボリンジャーバンドとして示しているものは同じなので、基本をしっかり覚えておきましょう!各ラインの示す範囲内に収まる確率は概ね以下の通りです。
もちろん、相場の状況や価格を動かす材料によっては予想外の動きをすることがあるものの、概ね上記の通りといえるでしょう。そのため、価格が-2σ・-2σ付近にあるときには逆張りのチャンスと考えられるかもしれません。
チャートにボリンジャーバンドを表示させた場合、基準線となる移動平均線と+3σ~-3σのラインは上記の画像に掲載した通りです。先ほど紹介した価格が範囲内に収まる確率を考えると、±2σ付近で逆張りするのがいいかもしれません。
ボリンジャーバンドと似ているように見える指標に「エンベロープ」というものがあります。しかし、ボリンジャーバンドとエンベロープは全く異なる指標なので注意してください。主な違いは以下の通りです。
ボリンジャーバンドは標準偏差を利用してラインを引くため、相場の状況によってラインの幅が異なります。しかし、エンベロープは移動平均手線から一定幅のラインを引くため、どんな状況でも常に幅が同じです。
そのため、ボリンジャーバンドとエンベロープでは読み取れる情報が異なります。また、両方の指標を併用して投資判断に役立てることもできるでしょう。
エンベロープをトレード判断に使う場合、複数本のエンベロープをチャート上に引いておき、これまでどのラインで反発しているかを探します。反発ポイントとして機能していると思われるラインに達したときに逆張りするのがいいでしょう。
また、反発ポイントをブレイクアウトしたときに順張りするという使い方もあります。このように、ボリンジャーバンドとは若干異なる使い方をするので、あわせて覚えておくのもいいかもしれません。
続いてトレードに役立つボリンジャーバンドの使い方をチェックしていきます。基本設定からトレードでの使い方を詳しく見ていくので、ぜひ参考にしてください!
まずは基本的なボリンジャーバンドの設定について見ていきましょう。MT5などのトレーディングツールを利用していて設定に迷っている場合は、ぜひ参考にしてください。
最初に迷いがちなのが期間設定です。ボリンジャーバンドでは、期間を短くすると価格変動に対するラインの反応速度が上がる反面、役に立たないシグナル(ダマシなど)が増えるという特徴があります。
そのため、短すぎるとダマシに引っかかって損失が出る可能性が高く、長すぎるとエントリータイミングが遅れてしまうというデメリットがあるので注意してください。
基本的には、一般的に使われている20~25に設定するのがオススメです。多くのトレーダーが使っている期間であり、注目している人が多いため指標としての信頼性も高くなるでしょう。
続いてσの表示設定です。±2σに収まる確率が約95%であることを考えると、ここまではしっかりチャート上に表示させておいたほうがいいといえるでしょう。
MT5を利用している場合、ボリンジャーバンド設定画面にある「Deviations」の数値をいじって±1σと±2σのラインを表示させましょう。±3σのラインも必要だと感じたら表示させるようにしてください。
なお±1σ・±2σ・±3σのラインはそれぞれ色を変えておくと勘違いしにくくなるのでオススメです。
次にボリンジャーバンドを利用する際の期間設定についてもっと詳しくチェックしておきましょう。
スキャルピングでボリンジャーバンドを使いたい場合、通常より短い5~10のものを使うのがオススメです。スキャルピングでは少しの値動きを利用して利益を出さなければならないため、短めに設定して細かい値動きを掴むようにしましょう。
ただし、その分ダマシの発生率が上がるのでストップロスのルールをしっかり決めておき、予想外の値動きをした際はそのルールに従ってストップロスを執行してください。
デイトレードで使うボリンジャーバンドの設定期間は10がいいでしょう。また、デイトレードでも標準の20を使う場合もあるので、チャートを2つ準備して両方表示させておくという使い方もあります。
1分足や5分足でそれぞれボリンジャーバンドを表示させ、うまくエントリーして利益を出しましょう。10を使う場合はスキャルピングと同様にダマシに注意が必要です。期間20のボリンジャーバンドとの併用や、ストップロスの設定をうまく利用してダマシによる損失を回避してください。
スイングトレードでは、標準的な期間である20~25がオススメです。多くのトレーダーが利用しているボリンジャーバンドで信頼性が高く、ダマシによって損失が発生する確率を下げることができるでしょう。
ポジショントレードでは長期保有が前提となるため、標準的な20~25のボリンジャーバンドに加えて50のボリンジャーバンドをチェックすることをオススメします。期間50のボリンジャーバンドには長期保有しているトレーダーが注目されている価格帯を掴みやすくなるので、売買のタイミングがわかるようになるでしょう。
次に迷いがちなのが、ボリンジャーバンドを利用するときのチャートの時間足です。こちらもトレードの手法によって使う時間足が異なります。
スキャルピングやデイトレードが主体の場合は1分足や5分足などの短期チャートに設定し、スイングトレードのような中長期のトレードの場合は4時間足や日足などの長期チャートに設定するのがいいでしょう。
どんなトレードスタイルであっても、1つの時間足だけでエントリー判断をするのは危険といえるでしょう。1つのチャートしか見ていない場合、複数の時間足のチャートをチェックしていれば気付けるダマシに引っかかる可能性もあります。
しかし、1分足と5分足、1時間足と日足のように複数のチャートを見ていればトレンドの方向を判断しやすくなるでしょう。
そのため、短時間足のチャートではダウントレンドに転換したように見えるのに長時間足で見ると強いアップトレンド中というような状況(短時間足のダウントレンドはダマシの可能性がある)でも落ち着いてエントリーできます。
複数の時間足のチャートを見ることはトレードの勝率を上げることにも繋がるので、しっかり確認するようにしてください。
ここでは実際にボリンジャーバンドを使う方法について見ていきます。ボリンジャーバンドは順張り・逆張りのいずれにも使える手法なので、しっかり覚えておきましょう。
ボリンジャーバンドから判断できるエントリーポイントには次のようなものがあります。
これらのエントリーポイントをうまく見極めれば、トレンドに乗ったトレードをする場合でもトレンドの転換点を見極めてトレードする場合でもボリンジャーバンドを役立てられるでしょう。
ボリンジャーバンドは逆張りによく使われる指標ですが、タイミングさえ覚えておけば順張りにも使えます。特にデイトレードではこれをうまく利用すればエントリーのタイミングを増やせるので、積極的に使っていきましょう。
ボリンジャーバンドを利用して順張りでエントリーする場合、「終値」が±1σのラインをブレイクしたタイミングを狙いましょう。ブレイクしたように見せかけてライン内に押し戻されることも多いため、終値がブレイクしているかに注目するのが大切です。
終値が±1σのラインをブレイクした場合、ブレイクした方向へのトレンドが発生する可能性が高いのでエントリーポイントに最適です。ただし、トレンドが一時的な場合もあるのでしっかり決済するタイミングを見計らいましょう。
基本的には逆張りの指標とされる±2σ~±3σ付近に達したら決済するのがいいでしょう。「もう少しトレンドが継続しそう」と考えて決済を遅らせるとトレンドが逆方向に転換し、エントリーしたポイント付近に戻ってくる可能性が高くなります。
ボリンジャーバンドは一定の範囲内に高確率で価格が収まるという特性上、逆張りにも向いている指標です。逆張りする場合は次で紹介するタイミングでエントリーするのがオススメです。
±2σ間に価格が収まる確率が約95%であることを考えると、「現在価格が±2σ付近にあるとき」に逆張りエントリーするのがオススメです。この場合は高確率でトレンドが転換すると判断できるので、エントリータイミングとして最適です。
ただし、終値が±2σをブレイクしていると±3σ付近までトレンドが継続する可能性があるので注意が必要です。また、トレンドが転換したように見せかけてそのままトレンドが継続するというダマシパターンもよくあるのでこちらにも注意しましょう。
ボリンジャーバンドもほかのテクニカル指標と同様にダマシが発生することがあるので注意が必要です。
最も多いダマシパターンが、トレンドの転換点(±2σ)に到達したのにそのままトレンドが継続するというものでしょう。回避するのが難しい場合も多いので、しっかりストップロスの設定を行いましょう。
また、エントリーポイントを判断するのに複数の時間足のチャートをチェックしたり、ほかの指標をボリンジャーバンドと組み合わせて使うのもオススメです。
ボリンジャーバンドに必要な標準偏差を計算するための方法は次の通りです。
計算して出た結果をチャート上にプロットすればボリンジャーバンドが完成します。
続いて、ここではボリンジャーバンドを利用する際に覚えておきたいチャートパターンを解説します。いずれも重要なポイントなのでしっかり覚えておきましょう。
バンドウォークとは、ボリンジャーバンドの±2σ・±3σに沿ってチャートが動くパターンのことです。「±2σ達したから逆張りしよう」とエントリーした場合、損失が出るパターンなので注意してください。
特にボリンジャーバンドが収縮した後に拡大した場合、バンドウォークが発生しやすいので注意深くチャートを見ましょう。
レンジ相場からの脱却(トレンド相場への移行)時に見られることが多いので、順張りするというトレード方法もあります。また、非常に強いトレンド相場が継続している場合にもバンドウォークが見られます。
スクイーズとは、上記のチャートのようにボリンジャーバンドが収縮する現象のことです。これが発生した場合、レンジ相場であると判断できるとともに、ボリンジャーバンドが開いてくるとトレンド相場に移行すると考えられます。
エクスパンションはスクイーズの逆で、ボリンジャーバンドの幅が大きく広がっている状態のことです。エクスパンションはトレンド相場を示していて、スクイーズの後に発生しやすいので注目していきましょう。
エクスパンションになると、前述したバンドウォークが発生しやすいので逆張りトレードで損失を出さないように注意してください。トレンド相場を確認したら順張りするのもいいかもしれません。
ボリンジャーバンドは単体で使うよりも、RSIやMACDといった別の指標と組み合わせて使うのがオススメです。そうすることによって、よりトレードの勝率を上げられるでしょう。
ボリンジャーバンドで逆張りを狙う場合、組み合わせて使える有用な指標がRSIです。RSIは買われすぎ・売られすぎを判断するのに役立つ指標で、70以上の場合は買われすぎ、30以下の場合は売られすぎと判断できます。
そのため、この2つの指標を組み合わせて利用する場合は以下のように判断するのがいいでしょう。
このように2つの指標を利用することで、ボリンジャーバンドのみで判断するよりもダマシに引っかかりにくくなります。信頼性が上がれば損失が出る可能性を減らせるので、うまく活用していきましょう。
MACDは順張りエントリーをする際に相性がいい指標です。ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせる場合は以下のように判断します。
上記のパターンが発生した場合、その後にバンドウォークが発生する可能性が高いといえます。そのため、うまくエントリーできればトレンドに乗って利益を上げることができるでしょう。
こちらもボリンジャーバンド単体でエントリーする場合より信頼性が高いので、ぜひかつようしてみてください。
次に、ボリンジャーバンドを活用する際に使えるインジケータについて簡単に紹介します。MT4やMT5などのトレーディングツールを活用している人は、ぜひ参考にしてください。
ボリンジャーバンドにタッチしたのを見逃したくない場合、アラート機能がついたインジケータがオススメです。その中でもオススメなのが、Trading Viewで使える「Bollinger Bands with Alert」です。
これを使う際はTrading Viewのインジケータ検索ウィンドウにBollinger Bands with Alertと入力して検索し、有効化してください。詳細はTrading Viewの公式サイトから確認してください。
ボリンジャーバンドを利用する際に注目したいポイントであるエクスパンションやスクイーズを判別したい場合、「bbsqueeze」というインジケータがオススメです。
これはMT4用のインジケータなので、MT4を利用している人は使ってみてください。ダウンロードは以下のページから行えます。bbsqueezeを利用すればアラートで教えてくれるので、スクイーズからエクスパンションに移行する際に気づきやすくなるでしょう。
MT4を利用している人で、チャート上にボリンジャーバンドを表示したいと考えている人は以下の手順で操作してください。
ボリンジャーバンドは標準搭載されている指標なので、上記の通り簡単な操作で表示させることができます。しっかり表示させてトレードに役立てていきましょう!
最後に、ボリンジャーバンドについてもっと学びたいと考えている人にオススメの入門書を紹介します。もし、書籍を活用して詳しく学ぼうと思っている人はぜひ参考にしてください。
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ボリンジャーバンドを使いこなせばFXはカンタンに稼げる! 2019年最新版 (稼ぐ投資) |
ボリンジャーバンドの使い方を詳しく紹介している書籍です。基礎から応用まで学べるのでオススメです。 |
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ボリンジャーバンドとMACDによるデイトレード ──世界一シンプルな売買戦略 (ウィザードブックシリーズ) |
こちらは、この記事でも紹介したボリンジャーバンドとMACDを組み合わせてトレードする方法を解説した書籍です。組み合わせて使うスキルを身に着けたい人にオススメです。 |
今回紹介したボリンジャーバンドは、エントリーポイントと見るべきポイント、注意点などをしっかり押さえておけば順張り・逆張りともに役立てられる指標です。うまく活用すればトレードの勝率を上げられるので、ぜひ活用してみてください!
20代男性、都内有名大学卒業後、貿易会社を経て独立。前職中に暗号通貨にハマる。現在はweb関連事業を行う傍ら、仮想通貨やFXトレードも兼業。好きなものはガジェット、ゲーム、自転車。暗号通貨や相場のことを分かりやすく説明することを得意とする。